ウォーロード(WARLORD)のギタリスト、ウィリアム・J・ツァミス(Willam J. Tsamis)が、2021年5月16日、60歳で亡くなりました。
現時点で死因は明らかにされていませんが、ニュースを見ると、2017年のツァミスへのインタビューで、すでに深刻な健康問題に冒されていることを明らかにしていたようです。その病が、残念ながら快方に向かわなかったのかもしれません。
"Destroyer"の通称で呼ばれたツァミスは、ドラムの”Thunderchild"ことマーク・ゾンダーとともに、ウォーロードを結成しました。デビュー作を発表したのが83年、活動の拠点はアメリカのLAと、まさにLAメタルのムーブメントが発火する時期。そんな中で、ヘアメタル勢とは無縁の、ヨーロピアンテイストの強い、陰影のある美しいメタルを披露したウォーロードは、シーンの異端と言える存在でした。
ウォーロードの80年代の活動は、実質3年ほどで終焉を迎えてしまいます。けれども、のちに再評価の兆しが、世界中のメタルマニアから次第に巻き起こっていきます。結果的に、それは2000年代の再結成に結実し、ウォーロードをメタルマニア同様に愛した、ハンマーフォールのヨアキム・カンスの参加も実現しました。
当ブログでも、ウォーロードの楽曲は”メタルど真ん中”の括りで、過去に1曲を選んでご紹介していました。
数々の優れた楽曲を創り上げた、ウォーロードのソングライターであるツァミスの功績は、歴史的に評価されるべきものでしょう。
今日は、同じく名盤『Deliver Us』の最後に収められた、「Lucifer's Hammer」をピックアップしてみました。ミッドテンポの独特なリズムパターンにシンクロさせた、印象的なリフに始まり、叙情的な旋律が宿る美しい中間のリードと、ギタリストとしてのツァミスの魅力が、ふんだんに凝縮された佳曲です。今日はこの入魂のギタープレイを聴いて、ご冥福をお祈りしたい思います。
R.I.P. Willam J. Tsamis