※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2021年7月23日、スウェーデンのハード・ロック・ギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーン(Yngwie Malmsteen)の約5年ぶり22枚目のニュー・アルバム『Parabellum』がリリースされました。
数ヶ月前からYouTube上で、小出しに数曲を先行公開して、方向性は明らかになっていましたが、今作はオリジナルのネオクラシカル路線に作風に戻り、インストゥルメンタル6曲、イングヴェイ自身の歌入り4曲の構成になっています。
お世辞にもクールとは言えない自身のイラストを冠したアートワークから、今作こそは良作を!みたいな期待は湧いてこなかったですけど、やはり、どんな作品であろうと一生ついてきてくれる熱烈なイングヴェイマニア向けの作品で、間違っても初心者が手を出してはいけないという印象を受けました。
今回(今回も?)最も落胆したポイントは、あり得ないほどに酷いサウンドプロダクションです。。大音響のヘッドホンで聴いてみたんですが、特に深みのかけらもないドラムの音は、思わず笑ってしまうほど。今時のその辺のアマチュアでも、もっとマシな音を出してます。
一応ドラマーのクレジットがありますけど、これドラムマシンですよね??打ち込みのタイミングが微妙にあちこちでズレまくってるのが気持ち悪く、どうしてこれでOKテイクにしたのか理解に苦しみます。特に疾走曲になった時のドラムのツーバスやオカズが全てにおいてカッコ悪くて。。。
肝心の御大のギタープレイですが、良くも悪くも不変の高速ネオクラフレーズの数々が、こちらも籠り気味の音色の中で永遠とループされます。気になったのが、曲が異なっても使い回しのフレーズが以前にも増して?繰り返し散見されること。この普遍性がいいんだという意見もわかりますけど、ネオクラシカルの先駆者たるオーラすら薄れ消えかけているのが気がかりです。
例えば、エディ・ヴァン・ヘイレンあたりは、キャリアの最後までフォロワーを寄せ付けないキレッキレのギタープレイで魅了してくれましたけど、イングヴェイの場合は、もはや数多のフォロワーにすら追い越されてしまいそうです。
コロナ禍のダウンタイムを利用して、いつもにも増して時間をかけて入念に創り上げた!みたいなコメントを見たので、ニュートラルな気持ちで聴いてみたものの、80年代〜90年代に心酔していたギタリストだけに、例え求められるネオクラ路線でも、その劣化ぶりにネガティヴな感想を抱かざるを得ませんでした。
今作はストリーミングで全曲聴けますし、まずは試聴して耐えられた場合のみ(笑)購入を検討した方がいいかもしれません。というか、もし1〜3枚目をはじめ、80〜90年代のCDで持っていないものあれば、そちらを先に買うことをオススメします。
今回ピックアップした「Eternal Bliss」は、クラシックギターのアルペジオに導かれて始まる、重厚なバラード調のナンバーです。ゆったりとしたメロディを歌い上げるイングヴェイのヴォーカルも悪くないですし、ギターソロもメロディ重視で80年代のイングヴェイのエレメントを感じさせてくれます。何よりパタパタしたドラムがほとんど登場しないのが嬉しいですね(笑)。こうした歌をメインに据えつつ、緩急をつけたギタープレイを挟むメロディアスな楽曲がもっとあっていいんですが、もはや誰の意見も聴かないでしょうね(汗)
聴いてほしい度
33%
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