※メタルの激しさとのギャップが美しい、バラードの魅力を紹介します!
アメリカのハード・ロック・バンド、スティールハート(STEELHEART)が、1990年にリリースした1枚目のアルバム『Steelheart』の9曲目に収録。
バラードナンバーがバンドの代表曲になるのは、HM/HRの世界でもしばしば起こり得ることですが、今回ピックアップしたスティールハートの「She's Gone」ほど、それが顕著に現れた例は中々ないでしょう。
哀しみをたっぷりと含んだ感情を濃縮させた曲調。トニー・ハーネルばりの強靭かつエモーショナルなハイトーンで絶唱する、ミレンコ(当時はマイク)・ミティアヴィッチが紡ぐ極限のメロディ。ありがちな一介のメタル風バラードではなく、まさにメタルの枠を超越した、必殺の”ど”バラードに仕上がった「She's Gone」は、すぐさま日本のHM/HRファンの間で話題の1曲になりました。
初めて聴いたのはラジオ番組でしたが、とんでもない名曲が生まれた!と、最初から驚愕させられましたからね。名実ともにバンドの代名詞となりましたけど、あまりにインパクトが強すぎて、スティールハートの「She's Gone」ではなく、「She's Gone」のスティールハート、になってしまったのは否めません。
正直、アルバム自体は特に変哲のないアメリカン・ハード・ロックが並び、決してクオリティが低いわけではないのに、メロディや展開も比較的淡白で、物足らなかったのも事実です。他の楽曲は全く浮かんでこないですもんね(汗)。実際のところシングルでは、パワーバラード風の「I'll Never Let You Go」が全米チャート23位で「She's Gone」が59位なんですが、印象の度合いが違い過ぎます。
そんなメタルシーンを代表するバラードのひとつなのに、あり得ないことにオリジナルヴァージョンは、未だストリーミング解禁されておらず!唯一、2017年再結成後のミラノでの少々寂しげな(汗)ライヴ(いかにもフロンティアーズっぽい、音源ありきの企画ですね。。)のヴァージョンがアップされています。
あまり期待せずに聴いたんですけど、意外と悪くないかも?ヴォーカルもそれなりにハイトーンが出ているし、タメのあるアレンジもいい感じです。Spotifyの再生回数を見ると、この曲だけ約280万回で、他は3万〜15万程度。オリジナルなら相当回転しそうなので、本当に勿体無い機会損失と言えるでしょう。
ぜひ、一度聴いてみてください!