グリム・リーパー(GRIP REAPER)他のシンガー、スティーヴ・グリメット(Steve Grimmett)が、2022年8月16日、62歳で亡くなりました。
現時点で死因は明らかにされておらず、息子さんや奥さんのコメントを見る限り突然の出来事だったようです。それにしてもまだシンガーとして円熟したキャリアを重ねていける60代、衰えを知らぬストロングなハイトーンヴォイスの持ち主であるスティーヴの死は早すぎますし、HM/HRシーンにとって損失ですね。。
正統派メタルのグリム・リーパー、ブリティッシュ・スラッシャーのオンスロート、日本で人気を博したメロディアスなライオンズハート、そして再び名義を変えスティーヴ・グリメッツ・グリム・リーパーと、唯一無二の存在感を示しながら長年シーンで活躍してきました。
2017年のツアー中に感染症にかかり、右足の一部を切断せざるを得ない苦難を経験してもなお、ステージで歌い続けてくれたスティーヴの強靭な精神力にも、改めて敬意を評したいと思います。
以前、グリム・リーパーとライオンズハートは紹介してきましたが、ハイトーン推しの筆者にとってスティーヴの歌声は、彼が在籍したどの異なる音楽性のバンドにおいても、心の脳天に刺さりまくる素晴らしいものでした。
その大柄で屈強ながらもどこか親しみやすい、フロントマンとしてのキャラクターも含めお気に入りだったHM/HRファンも多いことでしょう。『Rock You to Hell』をプロデュースしたマックス・ノーマンが追悼のコメントで「全てにおいて完璧な紳士だった」と語るように、その人柄も偲ばれます。
今年のインタビューで過去のキャリアについて、グリム・リーパーからギャラが払われていなかった事実に不満すらいわず、「コロナ禍で生活保護を受けている。自分は億万長者じゃないけど後悔していない。目の前の人たちの笑顔を見るのが好きなんだ」と語ったスティーヴ。ビジネス云々以前に、自らの歌で人々を笑顔にさせるのに何より喜びを感じていたからこそ、スティーヴの歌は心により響いてきたのでしょう。
追悼の1曲として、スティーヴのキャリアの原点と言えるグリム・リーパー『See You In Hell』からタイトル曲「See You In Hell」のスクリーミングシャウトを聴きながら、ご冥福をお祈りしたい思います。
R.I.P. Steve Grimmett