※80sを象徴する音楽、産業ロックのあれこれを紹介していきます!
アメリカのポップ・ロック・シンガーソングライター、リチャード・マークス(Richard Marx)が、1989年にリリースした2枚目のアルバム『Repeat Offender』の3曲目に収録。
以前にトリヴィウムのマシューとの異色のセルフカヴァーをご紹介したリチャードを、今回は単独でいってみましょう〜。
作曲家の父と歌手の母という音楽サラブレッドとして生まれたリチャード。ライオネル・リッチーに見出され、19歳の若さでライオネルのレコーディングに参加し、さらにケニー・ロジャースとの共作でカントリーチャートの1位を獲得するなど、順風満帆にキャリアを重ねます。
そして、87年にソロとしてデビューするや、セルフタイトルのアルバムが全米3位とヒット。文字通り次々とシングルヒットも飛ばし、日本でも人気者となって武道館での公演を成功させるなど、一躍80年代の洋楽シーンの中心に躍り出ましたね。
2枚目の本作でも勢いは止まらず、遂に全米1位を獲得。名実ともに80sの洋楽を代表するシンガーの一人になりました。ところが91年に発表された3作目から潮目が変わリ、以前ほどのヒットに結びつかず(それでも十分ですが)、90年代後半以降はプロデューサーとしての活動に移行していきました。
リチャードをもってしても、90年代という時代やシーンの変化に翻弄されたのかもしれませんが、彼のような卓越した才能を持ったアーティストと良質な音楽が、素直に売れていた80年代は、やはりいい時代だったなあとしみじみ感じますね。
数々の良質な楽曲の中で、今回は個人的に一番愛聴してきたメロディアス・ロック・チューン「Angelia」をピックアップしました!リチャードの甘くソウルフルな魅惑のヴォイスで切々と歌われる、哀感たっぷりのメロウな旋律は、何度聴いてもじんわりと深い感動を与えてくれます。
全米4位のヒットが納得できる、リチャードの卓越したソングライティング力を端的に思い知らされる名曲と言えるでしょう。バックを務めるブルース・ガイチ(G)、マイケル・ランドゥ(G)ら、一流ミュージシャンも流石の仕事ぶりを見せています。
ちなみに、深いリヴァーブがかかった全体の雰囲気とドラム、ギターのサウンドプロダクションは、デフ・レパードの『Pyromania』と『Hysteria』を真似たというのは、なるほど興味深い逸話ですね〜。リチャードとフィル・コリンは仲良しで、レップスの『Adrenalize』収録の「Stand Up」は、逆に「Angelia」にインスパイアされた可能性があるようです!
ぜひ、一度聴いてみてください!