※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2022年10月21日、イギリスのハード・ロック・シンガー、シェイ・ケイン(Chez Kane)の約1年半ぶり2枚目アルバム『Powerzone』がリリースされました。
80sテイスト全開のポップでキャッチー、爽快なアリーナ・ハード・ロックを披露し、その他のマニア界隈に感涙を呼んだフィメール・シンガーのシェイ。デビュー作が好評だったからか、短いスパンで早くも新作が登場しました。
一介のインディーズバンドだったケインドのシンガーとしての活動から、ソロでYouTubeに上げたカヴァーソングでの強力なヴォーカルパフォーマンスが注目され、遂にソロデビュー実現と、着実にシンデレラストーリーを駆け上がっている彼女だけに、その動向に注目が集まります。
届けられた今回のジャケ写を見ると、わざと狙っているんでしょうけど、うーん、前作と背景の色とポーズが変わったくらいで、またまたシンプルなアー写だけのチープで微妙なデザインですね。。(汗)
海外では受けそうな?80年代風味の雰囲気を醸し出す濃いメイクをしてますが、昔のYouTubeを見てると、ナチュラルにしてる方がイケてる感じがします。少なくとも日本ではそちらの方が受けそうですし、せっかくならジャケットやアーティストのヘアメイクに、もう少し力を入れて欲しい感じはしますね〜。
さて、肝心のサウンドの方は、今回もシェイをバックアップするのは前回と同じ布陣で、プロデュースを務めるクレイジー・リックスのダニー・レクソンが全て!のパート(ドラムは打ち込みでしょうけど、、)を担当しています。
80s系には重要ポイントのサウンドプロダクションは、いつものフロンティアーズクオリティな可も不可もない塩梅で、変に音圧も強くなく比較的音が整理されていて、十分及第点を挙げたいところです。
ダニーが手がけた楽曲の数々は、今回も方向性を変えることなく終始80sのアリーナ・ハード・ロック風味全開で、前作が気に入ったファンならまず期待を裏切られることはないでしょう。ただし1曲目が比較的地味な入り方で始まる印象もあるんでしょうが、全体に楽曲のフックの強さは前作の方に軍配が上がる感じがしました。
と言うのも、前作は「Ball'N Chain」に代表されるように、ボン・ジョヴィ?、いやデンジャー・デンジャー?、曲によってはTNT?、エクストリーム?みたいに、引用元(汗)が丸わかりのモノがズラリと並んでいました。いい意味で80sの良いとこ取りをした分、再現度が高くフック強めの良曲がぎっしり並んでいたからです。
対して、今作でも80sを引用、再現した良曲が幾つもあるものの、ところどころにダニーの色合いを滲ませた、よりハード・ロックンロール的な指向も若干感じられるようになり、前作に比べ潔い振り切り方が少し弱まったようにも聴こえました。ラストの「Guilty of Love」とかめちゃいい曲なのに、永遠と後半がギターインスト大会になっていて、ちょっと残念なエンディングに思えましたね。
もっとも、シェイのヴォーカルパフォーマンスは、さらに自信を深めたように強力無比ですし、80年代に活躍した多くのHM/HR系の歌姫と比較しても、まったく引けを取らない素晴らしさ!ヨーロッパでのライヴの予定も結構上がっているようですし、貴重な80sの伝承者(再現者)としての活躍を期待したいものです。
今回はメロハー / 産業ロック色が一番強い爽快なハード・ポップ・チューン「Nationwide」をピックアップしました!コーラスワークも実に素晴らしく、これぐらいメロディとフックの強力な楽曲が2、3曲増えて、トラックリストの前半に入って入れば印象がグッと良くなったことでしょう。
聴いてほしい度
85%
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