※思わず一人モッシュしたくなる!スラッシュ / デス・メタル系を紹介していきます。
アメリカのファンク・スラッシュ・メタル・バンド、モードレッド(MORDRED)が、1989年にリリースした1枚目のアルバム『Fool's Game』の6曲目に収録。
ベイエリアスラッシュの異端児として、スラッシュブーム後期に登場したモードレッドは、その革新的なサウンドから記憶に残るバンドです。スラッシュ・メタルに何か新しい要素を加えて融合する動きは、ブームが成熟するにつれて垣間見られましたが、モードレッドが実践したファンクやラップとのミクスチャーサウンドは、かなり本格的なものでした。
アンスラックスやデス・エンジェルといった有名バンド達も、楽曲によってはミクスチャー系の走りと言える方法論を実践していましたけど、専任のDJが正式メンバーとしてラインナップされ、さらにライヴにおいては、ステージ上にDJブースまで前面に配置されているという拘りぶりで、保守的なメタルファンからは賛否が巻き起こりました。
筆者もデビュー作で最もファンク色の強い「Every Day's a Holiday」を当時初めて聴いた時、正直言ってこれはスラッシュなのか?メタルなのか?理解できませんでしたね。こうして今の時代に改めて彼らが残した音源に触れてみると、いかに時代を先取りした音楽を指向していたのかが理解できるでしょう。
アートしたジャケットも印象的なデビュー作から、今回ピックアップした「The Artist」は、モードレッドらしい斬新なテイストを内包しつつも、スラッシャーとしての魅力も同時に強く放つ、個性的なスラッシュ・メタル・チューンです!
コロコロとリズムチェンジを図る複雑な展開ながらも、スコット・ホルダービー(Vo)が特徴あるヴォイスでしっかりと歌い上げており、シンガロングできるパートを多く、キャッチーとさえ言える印象を受けます。
さらに、バック陣の技量の高さは特筆ものでしょう!タイトかつ小技も完璧なドラミング、ビキビキとメタルらしさとは対極のサウンドで動きまくるベース、そして何と言っても流麗かつテクニカル極まりないギター陣の縦横無尽なプレイには、口がポカンと開いてしまいますね(笑)。
2021年には復活の新作もリリースしてストリーミングでもチェックできますが、ちょっと早すぎた鬼才集団モードレッドの残した音源を、改めて検証する価値は十分にあるでしょう!
ぜひ、一度聴いてみてください!