※歌がなくても魅力的!HM/HRインストゥルメンタルの世界を紹介します。
イギリスのロック・ギタリスト、 ジェフ・ベック(Jeff Beck)が、1989年にリリースしたソロ名義としては6枚目のアルバム『Jeff Beck's Guitar Shop』の9曲目に収録。
先週から今週にかけては、ジェフ・ベックを追悼して、ストリーミングで聴ける楽曲をいくつかご紹介していきます。
久々の歌モノ『Flash』で一定の成功を収めつつも、商業主義的な作風はジェフ本人も納得できなかったようで、、その反動が次作に色濃く現れていきました。タイトルからして「ギターショップ」ですし、ギター工房で巨大なギターをリペアしているイラストも含め、ソロギタリストとしてのジェフの位置づけを再確認しているように見えます。
制作体制も多数のゲストを迎えた前作から一転、ドラムにテリー・ボジオ、キーボードにトニー・ハイマス、ベースはトニーがシンセベースを操る形で、あくまでも最小編成の中で、ジェフのギターをど真ん中に据えた方向性に帰還しましたね。
凄腕ドラマーのテリー参加ということで、全編火の出るような3人のバトルに注目したものの、比較的ミドルテンポの楽曲中心で、バトルというよりも3人の安定したモダンなアンサンブルの中で、ジェフの鋭いギターが随所で炸裂するといった作風でした。
個人的には期待が大きかった分、若干肩透かしを食らった面もありましたけど、常人にはわからない相当に高いレベル演奏が繰り広げられた作品であることは間違いないでしょう。この頃のジェフはフィンガーピッキングとアーミングによる比類なき表現力にも、一層磨きがかかっています。
今回ピックアップした「Sling Shot」は、アップテンポのキレッキレなリズムに乗せて、アルバム中で最も激しい3人のバトルが繰り広げられる、ハードなインストゥルメンタル・ロック・チューンです!
ここまでの楽曲で少しモヤっとしていたところだったので、初めて聴いた時は、こういうのを待ってたんだよ!と心の中で叫んでしまいました(笑)。ジェフもトリッキーなフレーズを弾きまくりですし、トニーのシンセも素晴らしいですけど、何といってもテリーの超絶プレイなしでは成立しないでしょう。
短い曲ですけど濃厚な要素がびっしり詰め込まれていて、聴き終えると後味がよくスッキリしますね。89年のフェス形式ライヴでの来日時に、この曲を演奏してくれたのを思い出しますが、ライヴでは3人の音のぶつかり合いが、さらに強烈な印象を与えてくれました!
ぜひ、一度聴いてみてください!