※プログレ知識薄めのHM/HR視点で選ぶプログレをご紹介します!
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド、 U.K.(ユー・ケー)が、1979年にリリースした2枚目のアルバム『Danger Money』の5曲目に収録。
ジョン・ウェットン(Vo、B)らを中心に70年代後半に結成されたプログレ末期を飾るスーパーグループU.K.は、HM/HRファンでも愛聴している方が多いバンドでしょう。再結成後も含め複数回来日を行うなど、日本では高い評価と人気を保ち続けていますね。
とりわけデビュー作『U.K.(憂国の四士)』は、必聴の名作としてプログレファンのみならず知られる作品ですが、メタルファン目線では、ジャンルを超えてリスペクトされるアラン・ホールズワース(G)を加えた編成という点も大きいでしょう。
ただし、名曲「In the Dead of the Night」に代表される、複雑なリズムや構成はそれなりの集中力を要求しますし、意外と聴き手を選ぶかもしれません。その要因とも言えるジャズ/フュージョン指向を強めたビル・ブルーフォード(Ds)とアランが脱退し、代わりにテリー・ボジオ(Ds)が新たに加入。残ったエディ・ジョブソン(Key、Violin)とウェットンによるギターレスのトリオ編成となったのが本作でした。
メンバーチェンジにより複雑さが後退した分、ウェットンならではの良質なメロディ&ポップセンスが浮かび上がり、プログレ風味は保ちつつも聴きやすさを増した、絶妙なバランスの好作品に仕上がりました。両作とも甲乙つけがたいですが、個人的にはむしろ2作目の方が若干好きかもしれません。
今回ピックアップした「Nothing to Lose」は、比較的ストレートな作風で、これぞウェットン節とも言える哀感を帯びたキャッチーなメロディが魅力的なプログ・ロック・チューンです!
分厚いコーラスで彩られたフックの強いサビに象徴される、十分なポピュラリティを持った曲調や方向性は、のちのエイジアでの大成功へと繋がるテイストが確かに感じられますね。
当時のMVを見ると懸命にコーラスを取りながら叩くボジオの健気な姿がいい感じですし、要塞そのもののドラムセットと、おびただしい数の鍵盤によるステージセッティングのカッコいいこと!今の時代にないハッタリ感が最高なんですよね〜。透明の電子バイオリンを弾きまくるジョブソンもクールですし、まだスリムでパフォーマンスに切れ味のあるウェットンの姿も確認できます。
ちなみに後に発表されたヴァンデンバーグの「Nothing to Lose」と驚くほどサビメロが似てますけど、カヴァー曲ではありません。。(汗)
ぜひ一度、聴いてみてください!