※プログレ知識薄めのHM/HR視点で選ぶプログレをご紹介します!
イギリスのプログレッシヴ・ロック・バンド、マリリオン(MARILLION)が、1985年にリリースした3枚目のアルバム『Misplaced Childhood』の2曲目に収録。
1979年にバッキンガムシャーのエールズベリーで結成されたマリリオン。70年代を席巻しながら、パンク、ニューウェイヴ等の新しい波の中で衰退していったプログレッシヴ・ロックですが、そのスタイルを80年代に継承しつつ進化させた「ネオプログレ / ポンプロック」の雄として、永年に渡り活動を続けてきました。
英国らしさを滲ませた音楽性からも、HM/HRファンで愛聴している方々も多いでしょう。その歴史はオリジナルシンガー、フィッシュと、1989年に加入したシンガー、スティーヴ・ホガース各人の時代によって分かれますね。
とりわけフィッシュ時代の初期4枚は商業的成功を収め人気作も多いですが、ホガース期も含め一貫してクオリティの高い作品を創り出しています。そんな中で、本国と日本との人気の温度差は顕著でした。1985年の初来日は盛り上がらず、筆者も1994年の『Brave』に伴う2回目の来日公演を観ましたけど、素晴らしいショウに比して、会場規模や観客は寂しかった記憶があります。
ところが大人のロック世代に根強いプログレ支持から、2017年・18年と連続して来日が実現。新作の日本盤リリースも欠かしていませんし、むしろ今になって再評価、正当評価がなされてきたのかもしれません。
そんなマリリオンから1枚を選ぶのは困難で、とりわけフィッシュ期の4枚はそれぞれ色合いがありどれも好きなんですが、バンド自身に「本当の意味でのコンセプト作」と言わしめた『Misplaced Childhood』(邦題:過ち色の記憶)は、全英チャート1位に相応しい出色の出来ですね〜。
陰影を描きながら紡がれる美しく神秘的な音世界は、様々なイマジネーションを掻き立てられます。歌詞を含めるとより味わい深さが増していきますが、サウンドだけでも十分に感情を揺さぶられることでしょう。
今回ピックアップした「Kayleigh」(邦題:追憶のケリー)は、マリリオンの代表曲と言える、うっすらとプログレッシヴな風味が光るロック・チューンです!英国らしい湿り気と気高さを滲ませつつ、耳馴染みの良いポップなフィーリングも併せ持ち、普遍的な魅力を感じる名曲ですよね。
ハイライトは、スティーヴ・ロザリー(G)に紡がれる美しく感動的なメロディの数々でしょう。このメロディセンスはドリーム・シアターのジョン・ペトルーシあたりに影響を与えたのが理解できます。ちなみにシングルとして全英2位、Spotifyの再生数は現時点で約9800万回!ですから大台が見えてきました。
数多の音源はストリーミングで大半が聴けるので、これからもじっくり味わっていきたいですね。
ぜひ、一度聴いてみてください!