※80sメタル好きの暗黒期、90年代の良心的楽曲を紹介していきます!
アメリカのハード・ロック・バンド、ウォリアー・ソウル(WARROR SOUL)が、1990年にリリースした1枚目のアルバム『Last Decade Dead Century』の2曲目に収録。
シンガーでプロデュースも担当するデトロイト生まれのコリー・クラークを中心に、1987年にニューヨークで結成されたウォリアー・ソウル。自らの才能を信じたコリーは、短期間でメジャー契約を獲得するという公言通り、メジャーのゲフィン・レコーズと複数枚の契約を結びました。そのデビュー作が本作というわけですね。
90年代初頭といえば、オルタナ・グランジ系のバンドが猛烈な勢いで台頭する一方で、80sからのHM/HRバンドが音楽性を変えて生き残るを賭ける、そんな二極化がシーンにおいて進行していきましたが、ウォリアー・ソウルはそのどちらにも属さない、個性的なサウンドを標榜していました。
海外のサイトでは「アート・ロックとオルタナティブなメタルのミックス」なんて表現もされてますが、日本の再発盤のオビには「インテレクチュアル・メタル・バンド」なんていう、メガデス?(笑)と思ってしまう形容もされてますね~。多彩な才能を持つコリーの知性を持って創られた音楽という意味合いもあるんでしょう。
要するにカテゴライズするのが難しいほど、オリジナリティに溢れたハード・ロックが魅力で、70年代のサイケ色のあるハード・ロックをベースに、90年代仕様にアップデートさせ、そこにパンクやニューウェイヴ、はたまた80sのメタル、90sのトレンドのオルタナティヴのエレメントも程よく織り交ぜた印象がします。
コリー自身がデトロイトのパンクバンドをはじめ、ドラマーとしてキャリアを積んでいたのもユニークなサウンド形成につながったのかもしれません。個人的にはオルタナティブのファンも共鳴するようなバンドはスルーしてたんですけど、このウォリアー・ソウルの初期作品は、硬質なサウンドメイキングがメタル耳にも馴染みやすく、コリーの声質や歌唱、楽曲の質の高さも相まって素直に響いてきますね。
今回ピックアップした「We Cry Out」は、独特のノリのグルーヴがうねりを上げる、プリミティヴなムード漂うハード・ロック・チューンです!抜けのよい声質でコリーが歌うメロディは、シンプルかつキャッチーともいえ、シンガロングしたくなります。多彩なエレメントが感じられるサウンドだけに、聴くものによってその受け止め方も変わるでしょう。
音楽通に評価される音楽性の高さに比して、大きな成功を収めていないバンドですが、紆余曲折経ながら、自らのロックンロールとその歴史を刻み続けています。
ちなみにデビュー作は現時点でApple Musicだけで解禁されています。
ぜひ、一度聴いてみてください!