※まさにHM/HRの黄金時代、80年代を彩った楽曲を振り返ります!
アメリカのハード・ロック・バンド、キッド・グラブ(KIDD GROVE)が、1984年にリリースした1枚目のアルバム『Kidd Glove』の3曲目に収録。
キッド・グラブは、シンガーソングライター、プロデューサー、ギタリストとしてHM/HRシーンでも知られる、ポール・サブー率いるバンドです。ポールは、メロハー系のオンリー・チャイルドを以前ご紹介してましたね。
そのマルチな才能を発揮して、メタル系に限らず音楽シーンで活躍してきたポールですが、80年代前半から中盤に、ポールの拠点とするLAからHM/HRムーブメントが起こったのは周知の通り。そうしたトレンドにも触発されて、キッド・グラブというバンド形式になったのかもしれませんね。
モータウンレコード参加のレーベル、モロッコの第一弾アーティストということでリリースされた本作は、プロデューサーにスティーヴ・バリとトニー・モレノを起用。ポールのバックは、マイク・ベイアード(Ds)を始めセッション系のミュージシャンが手堅く務めています。
ジャケットの表裏には、ギターを持ったポールがただ一人でこれでもかと(笑)フィーチャーされている通り、バンド名義といえど、実質的にはポールをリック・スプリングフィールドのように売り出す、ソロプロジェクトの一環と言えるでしょう。
ソングライティング力には定評のあるポールですから、キャッチーでポップな色合いを持った楽曲が多く、メロディアスでいかにも80sライクなアリーナ・ロックを展開しています。ポールのエモーショナルなボーカルはフィーチャーされていますが、ギターサウンドはさほど押し出していません。
曲によってはデジタル風味の強い、キーボードの装飾音もフィーチャーされており、HM/HRというよりも、むしろノーマルな80sの洋楽ロックと称したほうが良いかもしれませんね。
今回ピックアップした「Street Angel」は、イントロからポールのハードドライヴィングなギターリフが炸裂する、アルバム中で最もHM/HR色の強い、クールなハード・ロック・チューンです!このタイプの楽曲があと2、3あれば、アメリカン・ハード作としても、引き締まった作品になったように思えます。
ちなみに日本盤の邦題は「燃えるハード・ロック・カフェ」でした(笑)。
ぜひ、一度聴いてみてください!