ボストン(BOSTON)のシンガー、トミー・デカーロ(Tommy DeCarlo)が、2026年3月9日に亡くなりました。60歳でした。
SNSを通じて家族からのコメントが発表されましたが、昨年10月に突然アーティスト活動からリタイアを発表したのは、脳腫瘍を患い病と闘っていたからだったのですね。それにしてもまだ60歳、シンガーとして早すぎる突然の訃報は惜しまれます。
ボストンのリードシンガーといえば、やはりブラッド・デルプが思い浮かびますが、ブラッドが2007年に亡くなり、後任として加入したのがトミーでした。そのいきさつは元々ボストンのファンだったトミーが、MySpaceに自身が作曲したボストンのトリビュート曲をアップしたことに始まります。
その音源がトム・ショルツの耳に留って、ボストンが行ったトリビュートショウに招かれることになりました。結果としてツアーメンバーからシンガーの座を掴んだわけですから、実にドラマチックなストーリーといえます。ジャーニーがアーネル・ピネダをネットの動画を通じて見つけて、メンバーに迎えた流れと通じるものがあるでしょう。
思わぬきっかけで掴んだボストンのリードシンガーのポジションで活躍し、2013年には目下の最後のスタジオアルバムとなっている『Life, Love & Hope』に参加。そして、2014年10月に、ボストン2度目の来日公演で日本のファンの前でもその歌声を披露してくれました。
筆者も武道館公演を見ましたが、おのずとブラッドを彷彿とさせる、その透き通るような優しい歌声は、ボストンの数々の名曲のイメージを崩さずにマッチしていて、バンドが持つ唯一無二の世界観を堅持する重要な役割を果たしていました。
今回の訃報に際し、トムが「ボストンを救ってくれた」と感謝のコメントを出していているのも頷けます。あの歌声であればボストンとしてもっと新しい音源も聴いてみたかったですし、ライヴももう一度観たかったですね。
トミー自身はボストン以外で、2020年に自身のバンド、デカーロ名義でフロンティアーズからアルバムをリリース。2022年にはソロアルバムもリリースしていますが、いずれもボストンのエッセンスを漂わせたメロハーの好盤で、トミーのボーカルの魅力を味わえます。残された音源こそ少ないですが、優れたメロハーシンガーとしての足跡は色褪せないでしょう。
今回は追悼の1曲として選んだ「What About Us」は、2025年4月に配信リリースされた生前最後の楽曲です。AORタッチの優しくメロウなメロディと曲調に、トミーの澄み渡るハイトーンが冴える逸品に仕上がっています、この曲をを聴きながら、ご冥福をお祈りしたい思います。
R.I.P. Tommy DeCarlo
