※プログレ知識薄めのHM/HR視点で選ぶプログレをご紹介します!
アメリカのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンド、トリリオン(TRILLION)が、1978年にリリースした1枚目のアルバム『Trillon』の1曲目に収録。
ホワイトクリスマスではないですけど、なんとなく寒々しいジャケの楽曲でも聴きたいなということで、トリリオンです(笑)。凍てついた3頭のホワイトタイガー?のジャケが目印のデビュー作が有名なトリリオンですが、のちにTOTOに加入したファギー・フレデリクセンが在籍したことでも知られていますよね。
筆者はTOTOの数あるアルバムの中でも、ファギーが唯一参加した『Isolation』は、ベスト3に入る大好きな作品なので、そこから彼自身にも興味が沸いて、後追いでトリリオンにたどり着いた記憶があります。そうしたTOTOファンも多いでしょう。
トリリオンの音楽性はプログレと呼ぶにはライトな感じですし、産業ロックやメロディアスロックというにはハードでアーティスティックな印象もありますけど、いわゆる「アメリカン・プログレ・ハード」と呼ぶのが一番しっくりくる気がします。
本作がリリースされた1978年といえば、アメリカではボストンがブレイクした後。スティクスやカンサスといったプログレのエレメントを内包しつつも、ヒットチャートを狙えるメロディと大衆性も併せ持った名バンド、名作、名曲が続々登場して、シーンを席巻した時期ですよね。
それらのバンドと同系の音楽性と、決して見劣りしない実力当初から兼ね備えたトリリオンは、ネクストブレイクを果たしてもおかしくない存在でした。とりわけ万人の心を捉えるクリアのハイトーンボイスを持つファギーのボーカルは、大きな武器でしたからね。
今回ピックアップしたオープニングを飾る「Hold Out」は、その中でもメロディ、プログレ度合い、ハードさのバランスが取れた、トリリオンの代表曲のひとつといえるアメリカン・プログレ・ハード・ロック・チューンです!
楽曲自体の出来の良さに加え、美しいコーラスワークや哀感も滲ませたギター、スペーシーなシンセなどのアレンジも俊逸で、英国から迎えたプロデューサーのゲイリー・ライオンズが良い仕事をしています。ボストン辺りが好きなロックファンの琴線には、どの曲もドンピシャで触れる逸品でしょう。
ところが実際にはなぜか商業的な成功を得られず。。バンドの方向性やポテンシャルは申し分なかったものの、チャートをブレイクスルーするだけの、シングルカットできるこれといったキメ曲がなかった点が大きかったのかもしれません。
結局ファギーは1枚で脱退。1980年にはトム・グリフィンをシンガーに迎えた2枚目をリリースして、トリリオンはその歴史に幕を閉じています。この2枚目もまた素晴らしい作品なので、改めて別でご紹介したいですね!
ぜひ、一度聴いてみてください!