※プログレ知識薄めのHM/HR視点で選ぶプログレをご紹介します!
日本のプログレッシヴ・ロック ・バンド、ケンソー(KENSO)が、1991年にリリースした5枚目のアルバム『夢の丘』の1曲目に収録。
メタル好きが高じて、プログレの世界へと足を踏み入れる方々がいるように、80年代当時、ジャパメタ好きから派生して、日本のプログレを追求し始めた方々も少なからずいたでしょう。
橋渡しとなったのは、ある意味ジャパメタ勢の一角としても認識のあったノヴェラ辺りなんでしょうが、よりプログレにフォーカスしたバンドも多く存在し、とりわけ個人的に刺激を受けたバンドがケンソーでした。
その結成は中心人物の清水義央(G)が、自らが通う高校の通称名「県相」と名付けた1974年に遡ります。次第にプログレ指向を強め、1980年に自主制作盤をリリースし、1985年にはメジャーデビュー。以来、断続的な活動ながらスタジオ作9枚、ライヴ作多数を世に送り出しており、日本のプログレシーンを代表するバンドのひとつですね。
そんなケンソーを率いる奇才の清水が、現役の歯科医なのはよく知られるところでしょう。ご近所ならかかりつけでお世話になりたいところです(笑)。いわゆる「二足のわらじ」は、音楽活動だけをとれば物理的な制約を生んでしまうように思えますが、両方の世界を行き来すること自体が、ケンソーの個性的で知的なプログレの根源になっているように思えます。
ロックシーンでも、例えばブライアン・メイが天文学者だったり、トム・ショルツがマサチューセッツ工科大卒のエンジニアだったり、インテリなバックボーンをもつアーティストが生み出す音楽は、ひときわユニークでクオリティが高いイメージがします。清水が創りだすプログレも全く同じように感じられるんですね。
その作品群が最近ストリーミング解禁されたのは嬉しい限りですが、とりわけ評価が高いの「が本作でしょう。筆者もケンソーの凄みに初めて触れた1枚で、素晴らしいジャケットを見て思い描いた「夢の丘」のイマジネーションが、その音世界に浸ることで幾重にも広がっていくような感覚に襲われました。
全曲通して聴くべきなのはわかりつつ、敢えて今回ピックアップした「月の位相−Ⅰ」は、物語のオープニングを飾るに相応しい、ハードエッジな魅力も光るプログレッシヴ・ロック・チューンです!
今や数々の有名アーティストとのコラボで知られる売れっ子ドラマー、村石雅行のタイトなドラミングが実に心地よく耳を刺激してくれます。清水と名手達が創り上げる音世界の一端に触れたら、アルバム全編、さらにはいろんな作品を探訪してほしいですね!
ぜひ、一度聴いてみてください!