※プログレ知識薄めのHM/HR視点で選ぶプログレをご紹介します!
アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンド、ワールド・トレイド(WORLD TRADE)が、1989年にリリースした1枚目のアルバム『World Trade』の3曲目に収録。
89年にビリー・シャーウッド(B,Vo)とブルース・ゴウディ(G)を中心に結成されたワールド・トレイド。ビリーはマルチプレイヤーとして知られ、その才能が認められ周知の通り1997年にイエスに加入しています。
ブルースはHM/HRファンにはストーン・フューリーでの活動で知られ、のちにはアンルーリー・チャイルドにも参加しています。矢沢永吉のツアーギタリストとしても長年活動してたんですね。
そんな二つの才能にガイ・アリソン(Key)、マーク・T・ウィリアムズ(Ds)が加わり、キース・オルセンを迎えて制作されたのが本デビュー作でした。印象的な”ニュートンのゆりかご”のジャケットが、いかにもプログレ風でイマジネーションを掻き立てられます。
当時としては新世代のプログレになるんでしょうが、プログレッシヴでありながらもコンパクトで、コマーシャリズムとキャッチーさを兼ね備え、筆者のような薄めのプログレファンにはとりわけとっつきやすい作風に仕上がっています。
80sの洋楽ロックらしい煌びやかさのあるタイトなプロダクションながら、しっかりとインテリジェントな感覚を滲ませ、90125期のイエスに通ずる方向性を感じる方々も多いでしょう。これと言ったキメ曲がないのが気がかりでしたが、逆に欠点も少なく、気を張らずに心を落ち着けてリピートできるプログレ作品と言えるでしょう。
今回ピックアップした「Can't Let You Go」は、比較的ストレートなリズムとキャッチーなメロディラインで聴かせる、ライトタッチのプログレッシヴ・ロック・チューンです!ひと癖あるハーモニーとメロディに彩られた分厚いコーラスワークは、どことなくイット・バイツを彷彿とさせます。フランシス・ダナリーがもし歌ったら、まんまイット・バイツになりそう。
ビリーの透き通ったボイスが、澄み渡る空気を運んできてくれます。アメリカのバンドながらも明るくなりきれない、湿り気を帯びた質感も魅力といえるでしょう!ストリーミングには歴代3枚のアルバムがアップされています!
ぜひ、一度聴いてみてください!