※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2022年10月7日、アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、クイーンズ・ライク(QUEENSRYCHE)の約3年ぶり16枚目アルバム『Digital Noise Alliance』がリリースされました。
現在のライナップを整理しておくと、、80年代からのオリジナルメンバーのマイケル・ウィルトン(G)、エディ・ジャクソン(B)に加え、トッド・ラ・トゥーレ(Vo)と復帰となるマイク・ストーン(G)、そしてキャメロットから加入したケイシー・グリロ(Ds)の5人となっています。
ジェフ・テイトとのお家騒動もあり、一時期低迷を余儀なくされたクイーンズライク(いまだにクイーンズライチの方が馴染みがありますね〜)ですが、その後、今度はスコット・ロッケンフィールドとの問題が起こったりしつつも、憑き物が取れたように、新たな黄金期と言える順調な活動を続けています。
その立役者として、誰もが認めるのがトッドによる八面六臂の活躍でしょう!前作ではドラマーとしての力量も示してくれましたが、今作ではクイーンズライクのシンガーとして求められる役割に再び全集中し、楽曲を彩る見事な歌唱を披露しています。
オリジナルメンバーが2人しかいないのに、我々のイメージするクイーンズライク”らしさ”を完璧に演出してくれるのは、トッドのハイトーンボイスをおいて他にないでしょう。
同じように、オリジナルシンガーにそっくりな歌唱のシンガーが入った有名バンドとして、例えばジャーニーが挙げられます。彼らの場合、音楽的には中心人物であるニール・ショーンがイニシアチブをとって、アーネル・ピネダはよくいえばその指示通り忠実に、悪くいえばスティーヴ・ペリーのクローン的な位置づけに、未だ甘んじているようにも思えます。
一方のクイーンズライクの場合、トッドの加入当初こそジェフのクローン的な見られ方をしていました。けれども、作を重ねて自らの意思を持ってバンドへの貢献度を高めていき、いまでは最もクイーンズライクの世界観を理解し、ファンが期待する範疇で新たな優れた音楽を作り上げる、まさに欠かせない存在となりましたね。
今作もどこから切ってもクイーンズライクにしかなし得ない音世界が広がっていますが、前作のプログレ色を強めた方向性からは、もう少しストレートに彼等らしいヘヴィ・メタルを堪能できる力作に仕上がっています。
比較的聴きやすい前半〜中盤と聴き進めて行くと、キメ手となる楽曲までは見当たらない分、ちょっと後半ダレていくのも事実ですけど、最後のビリー・アイドルのカヴァー「Rebel Yell」はちょっと意外な選曲で、目を覚ますのにはちょうど良かったりします(笑)。
あと、特筆すべきはケーシーのタイトかつ正確無比なドラミングでしょう!キャメロットで何度も来日し、ドラマーとしてのアビリティの高さは日本でも知られるところですけど、クイーンズライクにおいても音楽性にジャストフィットするプレイを披露しています。この人選は大正解でしょうね。
今回はストリーミングで先行公開されていた「In Extremis」をピックアップしました!比較的アップテンポでキャッチーなメロディとコーラスワークを有した曲調は、オープニングとしては申し分ないですし、安定感の中にも、まだまだバンドとして高みを目指していけそうな躍動感が漲っていますね!
聴いてほしい度
82%
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