※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2024年3月1日、イギリスのヘヴィ・メタル・バンド、アイアン・メイデン(IRON MAIDEN)のシンガー、ブルース・ディッキンソン(Bruce Dickinson)の約19年ぶり7枚目のアルバム『The Mandrake Project』がリリースされました。
9月に久々の来日が予定されているアイアン・メイデン。東京・横浜の公演はソールドアウトし、横浜の追加公演が発表されるなど、メタルファンには別格の人気ぶりと盛り上がりを示していますが、そんなベストタイミングで、こちらも久々となるブルースのソロ作登場ですね~。
ところで日本盤はいつかな?なんて、ネットで調べてみたものの全くわからず。。筆者は専門雑誌の類は長らく一切見てないので定かではないんですけど、スラッシュのソロのように、ライセンスの日本盤発売はスルーされたんでしょう。
世界最高のメタルボーカリストの一人、しかもちょうどメイデンが来日する年に満を持して登場したソロ作ですからね。小粒なアーティストの日本盤(汗)は毎月たくさん出てますけど、パッケージに関しては、もはや大物アーティストがビジネスとして割に合わないほど、日本のメタルマーケットがシュリンクしている現実を改めて受け止めないといけません。
デラックスエディションもある輸入盤CDは、Amazonでも在庫切れで入荷もままならないようです。そうした状況ですから。少なくとも発売タイミングにタイムロスなく、その音世界と映像に浸れるストリーミングの強みが生かされたといえるでしょう。
さて、本作ですが2005年『Tyranny of Souls』以来なんですね。約20年ぶりとは相当な年月ですけど、インタビューによると曲作りは10年ほど前から本格的に進んでいたようで、コロナ等様々な事柄が重なりここまでずれ込んでしまったようです。
アルバムを貫くコンセプトは、ブルースが10年以上に渡りしたためた「科学とオカルトの天才を背景に、権力、虐待、アイデンティティをめぐる闘争を描いたダークな大人の物語」。それをソロにおける長年の盟友ロイ・Zとの共同制作の形により創り上げた作品になりますね。
音楽アルバムに留まらず、物語と連動したオリジナルコミックシリーズ『Bruce Dickinson's The Mandrake Project』もすでに1月から始まっており、全12巻におよぶ壮大なサーガとして刊行されます。本格的な文筆業もこなす多才なブルースだけに、本作に並々ならぬ思いを込めていることが伝わるでしょう。
本来であれば物語の世界を歌詞やブックレットを通じて堪能するには、翻訳が欲しいところですけど、皮肉なもので日本盤が出ませんからね。。英語が難しければ、AIでも駆使して自ら解読した方がいいかもしれません。
ということでストーリーはともかく、肝心なサウンドの方にフォーカスしていくと、ブルースと前述したロイ・Zが主なパートをこなす共同制作があくまでも中心で、パドル・オブ・マッドのデイヴ・モレノ(Ds)、楽曲によってガス・G(G)、クリス・デクレルク(G)らがゲスト参加しています。
先行曲となった「Afterglow of Ragnarok」からスタートする重厚な音世界は、ブルースの創作した物語をイメージさせて強化する、ヘヴィでダークな音像が貫かれています。
正直、一聴した限りでは全体を覆う、どんよりしたムードとコンセプトありきな敷居の高さゆえに少々たじろぎそうになったものの、我慢して(笑)リピすると楽曲によってはシンフォニック・メタルであったり、スパニッシュなエッセンスが導入されたり、はたまたメイデンの「If Eternity Should Fail」の関連曲があったりと、それなりのスパイスや起伏が感じられ、聴感は良くなってきましたね~。
とはいえ、コンセプチュアルな作品だけに、メイデンの長尺曲ほどではないでしょうが、単純にブルースの唯一無二の歌唱を単純に味わい尽くしたい目的であっても、それなりの集中力を要するのも事実でしょう。
「Rain on the Graves」を含め、すでに映画のような凝った作りのMVが2曲公開され、Apple Musicでも鑑賞できます。”The Mandrake Project”へのイマジネーションを膨らませる意味でも、映像でも積極的に楽しみたいですね~。
今回はMVも制作されたオープニングを飾る「Afterglow of Ragnarok」をピックアップしました!先行曲だけに壮大なメロディは染み入りますし、メタルシーン最高峰のボーカリストの名に相応しいパフォーマンスが光ります。
海外ではソロとしてのツアーも予定されており、ギミックなしの「70年代のような」ショウを行うとのことで、ぜひメイデンの来日公演のオープニングで観たいくらいですが、、Wヘッダーは無理ですよね(笑)。
聴いてほしい度
75%
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