※思わず一人モッシュしたくなる!スラッシュ / デス・メタル系を紹介していきます。
ブラジルのハードコア / スラッシュ・メタル・バンド、ラトス・デ・ポラン(RATOS DE PORAO)が、1989年にリリースした4枚目のアルバム『Brasil』の1曲目に収録。
ポルトガル語で「地下室のネズミ」を意味するラトス・デ・ポラン(ポラオと発音しないようですね)は、1981年にサンパウロで結成され、40年以上経った今も現存するレジェンダリーな存在です。結成時からの中心メンバーであるジャオ(G、一時期Ds)とジョアン・ゴルド(Vo)だけは、一貫して在籍しています。
当初は体制批判のアティチュードを含有したパンク・ロックを標榜しましたが、海外のハードコア系バンドに影響を受けながら方向性を定め、1983年にデビューアルバム『Crucificados pelo sistema』を世に送り出しました。
これが初期衝動の塊のハードコア作品で、その名を知らしめました。ところがブラジルのパンクスには、純粋なパンクからハードコアへの変化が不評を買い、ブラジルでのパンクブーム終焉も相まって一時期解散します。
それでも復活するや、従来の路線に当時アメリカやヨーロッパで隆盛し始めたスラッシュやクロスオーバーの要素を果敢に融合。1986年に2枚目のアルバム『Descanse Em Paz』をリリース。この変化が同郷のスラッシャー、セパルトゥラらとの交流をもたらし、1987年に3枚目の『Cada Dia Mais Sujo e Agressivo』をメタル系のレーベルからリリースしました。
そして、セパルトゥラのイゴールの協力のもとで、ロードランナー・レコードと契約し、ドイツでハリス・ジョーンズがプロデュース。リリースされたのが国名をタイトルに冠した本作でした。
1~2分の楽曲18曲で一気呵成に駆け抜ける痛快な作風は、純粋なスラッシュとクロスオーバーどちらの視点からも楽しめる内容で、名実ともにラトス・デ・ポランの代表作と言えるでしょう。筆者もですが、日本ではこの作品で初めてバンドを知ったHM/HRマニアも多いでしょう。サッカーをモチーフにしたアイロニーの効いたジャケのイラストも印象的でしたよね。
今回ピックアップした「Amazônia Nunca Mais」は、オープニングを飾るに相応しい高速リフとリズムで一気に駆け抜けるスラッシュ・メタル・チューンです!2分弱の尺ながらもリズムに緩急をつけ、ギターソロやシンセっぽいアレンジを盛り込むなど、この1曲だけでも彼らの魅力が端的に伝わるでしょう。
その後、スラッシュ、ハードコア、パンク、クロスオーバーを作品ごとに濃度を変えて、そのバンド史を積み重ねています。一気に聴くとかなり疲れますが(汗)、ストリーミングならピンポイントで楽しめるのがいいですね!
ぜひ、一度聴いてみてください!