※これぞ80s!のイメージなヘア/グラム/LAメタル/R&R系を紹介していきます。
アメリカのハード・ロック・バンド、トイ・キャノン(TOY CANNON)が、2022年にリリースした1枚目のアルバム『Forever One』3曲目に収録。
今回のヘア/グラム・メタル括りもお馴染みエオニアン・レコーズものです。このオブスキュア発掘系の80sヘアメタル勢は、バンド自体も音源も玉石混交で、こんなもん発掘せんでもええわ!ツッコミたくなることもありますが(笑)、このトイ・キャノンは間違いなく80sヘアメタル系で「掘り出し物」の部類に入るでしょう。
1987年にニュージャージー北部で結成されたトイ・キャノン。4人組のラインナップが固まった彼らは、曲作りとリハを重ね実力をつけていきました。ザック・ワイルドがアマ時代に在籍したザイリスのマネジメントに目を付けられ、リハにメジャーレーベル数社の担当者を呼び寄せることに成功しますが、契約には至りませんでした。
ところがその後、リハを訪れたダグ・オバーキルヒャーなる人物に目を付けられます。ダグはプロデューサー兼エンジニアとして、ルーグラム、ドリームシアターをはじめ数多くの有名アーティスト作品にクレジットされており、とりわけファイアーハウスのブレイクにも関与していました。
ダグはトイ・キャノンに可能性を見出し、ニューヨークのベアトラックス・スタジオに彼らを招いてデモをレコーディング。1990年11月にはこの音源でラジオ局のコンテストで優勝し、ご褒美にポイズンの前座を獲得。これが初ライヴだったというんですから面白いですよね。
これをきっかけに東海岸でライヴや業界向けのショーケースを積極的に敢行。さらなるデモを制作する中でメジャーからの注目も高まり、次なる契約を獲得するバンドとして準備万端でしたが、、、。もうお約束の展開ですけど、オルタナ・グランジブームの勃発にドンピシャで重なってしまい、手に届きかけたメジャー展開が無と化してしまいました。
エオニアンが発掘し約30年後にCD化したのは、1990年から92年にかけてのデモ音源集で13曲が収録されています。とりわけ冒頭から7曲を占める前述のベアトラックでレコーディングした音源の完成度の高いこと。
プロダクションがデモとは思えないレベルなのに加え、適度にエッジがありメロディ重視の、いかにも80sな楽曲完成度の高さに驚かされます。ダグが手掛けたファイヤーハウスを彷彿とさせる音楽性とメンバーの堅実なパフォーマンスは、確かにメジャー1歩手前だったんだろうなあと想起させるに十分でしょう。
今回ピックアップした「Forever One」は、典型的な80sヘアメタルのロッカバラード風で、非凡なるソングライティングセンスを感じさせるメロディックなハード・ロック・チューンです!
ほんのあと2,3年でも早くシーンに登場していたなら、メジャーで活躍した存在になったかもしれませんね。そんな不運な状況にも思いを馳せながらしみじみ味わいたいですね。
ぜひ、一度聴いてみてください!