※思わず一人モッシュしたくなる!スラッシュメタルを紹介していきます。
ドイツのテクニカル・スラッシュ・メタル・バンド、 メコン・デルタ(MEKONG DELTA)が、1989年にリリースしたEP『Toccata』の1曲目に収録(ストリーミングでは3曲目)。
メコン・デルタの総帥であるベーシスト、ラルフ・ヒューベルト。元々レイジの前身バンド、アヴェンジャーのエンジニアだったラルフが、同バンドに在籍したドラマーのヨルグ・マイケルらと立ち上げたスラッシュのプロジェクトが、メコン・デルタの始まりでした。当初はレイジのピーヴィーも参加していますし、ギター陣にはリヴィング・デスのメンバーが参加しています。
ラルフは、バンドの存在をミステリアスなものにすべく、その成り立ちも伏せられ、バンドのメンバーも変名で表記されていました。確かに彼の狙い通り、なんかよくわからないけど、ドイツのインディーシーンからスゴイのが出てきた!と、今考えると確かに少し騙されていた気がします(笑)。
デビュー作では、まだ比較的ストレートなテクニカル・スラッシュという趣だったのが、次作ではラルフが敬愛するラグ・クラフトの短編小説を題材にしたコンセプト作を発表。さらに、次第にプログレッシヴにクラシックの要素をミックスさせ、大作主義を掲げたアルバム創作へと進化していきました。この頃の作品は、聴き手に集中力と根気を要するサウンドで、ノーマルなHM/HRファンに、とっつきにくいバンドになったのは、否めないかもしれません。
今回ピックアップした「Toccata」は、大作主義化への過渡期に発表されたEPに収められた、エマーソン・レイク&パーマーのスラッシュ・カヴァー・ヴァージョンとなります!「Toccata」自体は、アルゼンチンの作曲家、アルベルト・ヒナステラのピアノ協奏曲が元になっていますし、クラシカル化を標榜するメコン・デルタにとってもやりがいのある題材だったんでしょうね。
まあ、カヴァーのクオリティやアレンジについては賛否があるかもですが、スラッシュ内のサブジャンル化が活発になる中で、斬新かつ積極的な試みは後世で評価できますし、ラルフをはじめとしたジャーマン・メタル勢の力量の高さを、改めて証明したと言えるでしょう!
ぜひ、一度聴いてみてください!