※思わず一人モッシュしたくなる!スラッシュメタルを紹介していきます。
アメリカのクロスオーヴァー・メタル・バンド、 プロング(PRONG)が、1990年にリリースした2枚目のアルバム『Beg to Diffe』の1曲目に収録。
86年に東海岸ニューヨークで誕生したプロングは、一度の解散を経ながらも精力的に活動を続けています。現在も唯一のオリジナルメンバーとして在籍する中心人物のトミー・ヴィクター(Vo、G)と、マイク・カークランド(B)は、2006年に閉店してしまったニューヨークの伝説的なライヴハウス、GBCBのスタッフとして働いていました。
80年代におけるハードコアの聖地での実体験が、プロングの音楽性に大きな影響を与えたことは想像に難くないですね。自主制作のEP、デビュー作は、そうしたメンバーのバックボーンを感じさせるハードコア、クロスオーヴァースラッシュで、それを格段にスケールアップさせたのが、エピックからのメジャーデビューとなる本作でした。
多様なテイストを絶妙に織り交ぜながらも、メタリカでお馴染みのパスヘッドによって描かれたジャケットが示す通り、プロングの作品の中ではスラッシュ・メタルに最接近したアルバムとして、個人的にはダントツ一番に好きな作風です。
今回ピックアップした「For Dear Life」はオープニングを飾る、プロング流儀の抜群のセンスが光るスラッシュ・メタル・チューンです!どこか淡々、飄々としながらも、一筋縄ではいかないリフとリズムで終始駆け抜けていきます。ブレイクやキメがそこいら中でビッシビシと決まるさまは、問答無用にカッコイイですね〜!
中間部の跳ねたリズムあたりは、クロスオーヴァーや同時期のパンテラに近いグルーヴィーなテイストを感じさせますけど、ザックザクと刻まれていくギターリフは、まぎれもないスラッシュであることを主張してくれます。
この後、90年代のシーンの大変動に呼応するように、大幅にインダストリアル、オルタナティヴ色を強めていき、個人的にはプロングへの興味が急速に遠ざかってしまったのも事実でした。それでも、改めて今、他作も聴いてみると、本作で抱いた魅力が違った形で反映されているようで、プロングというバンドが持つユニークさを、改めて理解できますね!
ぜひ、一度聴いてみてください!