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【新作レビュー】カーク・ハメット(Kirk Hammett)「Portals」

※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!

 

アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、メタリカMETALLICAのギタリスト、カーク・ハメット(KIRK HAMETT)が、2022年4月23日、ソロEP『Portals』をリリースしました。

 

今までありそうでなかった、メタリカのメンバーによる初のソロ名義作として注目の作品は、カークが先陣をきりましたね。大昔はリズムギターがダメダメで、レコーディングはジェイムズが一人で弾いた、、なんていうしょっぱい逸話のあったカークが、すっかり貫禄をつけて、こうしたソロをリリースするとは、感慨深いものがあります。

 

オールインストゥルメンタル4曲入りのEPで、メタリカ関連だけにリリース形態も注目されるわけですけど、CD、ブルー色のヴァイナル、各種デジタルの3形態が揃いました。先日のスラッシュのコラムでも書きましたけど、日本盤は発売されないケースが出てくるのは、時代の大きな流れでしょう。

フィジカルがほしい日本のファンは、4月23日のレコードストアデイに合わせて、輸入盤を店頭と、追ってオンラインで購入できます。一方では、並行でストリーミングでも解禁、配信されますし、店頭とインターネットのいいとこ取りで音源を届けられるのは、さすがメタリカの手法ですね。当然、リリース元がBlackened Recordingsというのが、やはり彼らが音源ビジネスとして長けている点であり、他のバンドにない強みでしょう。

 

さて、カークによる本作に関するコメントや、実際の先行楽曲を聴いてわかるように、カークがいうところの”オーディオ・シネマティック”というワードがしっくりくる、映像とシンクロするような、ヘヴィでドラマティックな音世界が繰り広げられます。ホラーやSF、クラシックなテイストも漂いますね。

 

わずか4曲といえども、7〜8分強の楽曲3曲を含む、約27分ほどの長尺ですから、何度かリピしてみましたが、聴きごたえは十分すぎるほどにありますね。元々は、2017年に博物館で開催した自身のホラー、SF関連の展示会「It's Alive」のBGMとして浮かんだアイデアが、この作品の起点になったようです。

 

アンビエントなSEっぽいパートも多く、ボーッとしてBGMとして聴くと、退屈してそのまま寝落ちしそうですけど(汗)、目をつぶって向き合えば、カークの狙ったように、聴き手それぞれの脳裏に、様々な映像が浮かんでくるのではないでしょうか。

 

決してテクニカルではなくとも、カークのワウを駆使したメロディアスでヘヴィなお馴染み過ぎるギタープレイと、ソングライティングのセンスは、こうして形式は違えど、どこかメタリカっぽい雰囲気を漂わせているのが、興味深いところです。それだけ、メタリカサウンドを形作る中で、カークが貢献している証と言えるのでしょう。

 

クレジットとしては、プロデュースはカーク自身が担当し、カークによるカヴァーバンド、The Wedding Bandのメンバー、ボブ・ロックらに加え、後半2曲では『S&M2』でお馴染みのエドウィン・アウトウォーター、LAフィルハーモニー管弦楽団が参加しています。

 

今回はEPからオープニングの「Maiden and the Monster」をピックアップしました!前述した展示会のBGMのアイデアがまさにこの曲で、実際2017年にレコーディングされています。このEPの色合いを決定づけた1曲といえるでしょう。

 

今回のジャケットは、メタリカとは全く異なるテイストの画像が使われてますけど、この画像1枚だけでも、この楽曲の音世界と完璧にシンクロするように見えますね!

 

聴いてほしい度

70

ピックアップ曲はこちら!

Maiden and the Monster

Maiden and the Monster

  • カーク・ハメット
  • ロック
  • ¥204
  • provided courtesy of iTunes

 

EPはこちら!

Portals - EP

Portals - EP

  • カーク・ハメット
  • ロック
  • ¥611