※歌がなくても魅力的!HM/HRインストゥルメンタルの世界を紹介します。
イギリスのロック・ギタリスト、 ジェフ・ベック(Jeff Beck)が、1975年にリリースしたソロ名義としては2枚目のアルバム『Blow by Blow』の5曲目に収録。
今週から来週にかけては、ジェフ・ベックを追悼して、ストリーミングで聴ける楽曲をいくつかご紹介していきます。
第2期ジェフ・ベック・グループから、ベック・ボガート・アンド・アピスを経て、ジェフはいよいよ本格的にソロギタリストのキャリアを歩み始めます。ジェフの類稀なる才能を考えると、バンドのいちギタリストの枠にいつまでも収まるはずもなく、ソロとしての道が定まったのは、ある意味必然だったとも言えるでしょう。
ビートルズでお馴染みのジョージ・マーティンをプロデュースに迎え、全編インストゥルメンタルで制作されたのが、ジェフの代表作にして歴史的名盤となる本作ですね。ジェフ・ベック・グループからのマックス・ミドルトン(Key)に加え、フィル・チェン(B)、リチャード・ベイリー(Ds)を迎え、ベックが創り出したのは、ジャズ、フュージョン色の強いロックサウンドでした。
全編ギターインストという野心的な作風だったにもかかわらず、結果的に全米チャート4位と大成功を収めました。ここ日本でも「ギター殺人者の凱旋」という凄い邦題でヒットし、ジェフは誰もが憧れるギターヒーローの頂へと一気に登りつめましたね。
「ロックギターの教科書」とまで称されますけど、ここで聴けるジェフのギターテクニックと表現力全てが、ロックギタリストにとっては超え難い大きな目標であり、永遠のお手本になったと言って良いでしょう。
ジェフといえば今やストラトキャスターのイメージが強いですけど、本作のジャケが示すようにこの頃は黒のレスポールを使用していましたね。個人的にはレスポールを持ったジェフの立ち姿があまりにもカッコ良く、見ているだけで惚れ惚れしてしまいます。
全曲に渡り一つひとつの音の細部まで、聴きどころ満載ですが、今回はジェフのハードサイドの名曲「Scatterbrain」をピックアップしました!個人的にはジェフで1曲といえば、この曲を挙げるかもしれません。”そそっかしい人”の意味を持つ言葉ですけど、確かに忙しないメインメロディはそんなイメージを表しているかのようです。
それにしても、緊張感のあるコードと展開の中で繰り出されるジェフ超絶なギターワーク、それに喰らいつく楽器陣の凄まじい応酬は、いつ何度聴いてもスリリング!後半のオーケストレーションが入ってくるアレンジも劇的ですね。HM/HRではなくとも充分にハードなテイストに溢れていますし、メタルファンこそ味わうべき、まさに歴史的な名演と言えるでしょう!
ぜひ、一度聴いてみてください!