※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2023年6月30日、イギリスのヘヴィ・メタル・バンド、レイヴン(RAVEN)の約3年ぶり15枚目のアルバム『All Hell's Breaking Loose』がリリースされました。
前作『Metal City』が、近年のみならず、バンド史上でも稀にみるスピードとエナジーに満ち溢れた作風で、メタルマニアの度肝を抜いたレイヴン。まるで名作『Wiped Out』が現代のプロダクションで甦ったかのようにも感じましたよね。
何といってもジョー・ハッセルヴァンダー に代わり加入したドラマー、元フィア・ファクトリー他のマイク・ヘラーの存在が大きかったでしょう。すでにマイクは40代とはいえ、ギャラガー兄弟に比べるとまだ若く、その正確無比な高速ドラミングで、レイヴンにフレッシュな感覚を注入。その影響でギャラガー兄弟も完全覚醒してアドレナリン全開の、文字通りアスレティック・ロックの真髄を繰り広げました。
ここにきて脂が乗りまくった状態だけに、比較的短い3年スパンでの新作に期待感が高まりましたね。海外のレーベルがシルヴァーライニングに変わってのアルバムは、イラストのアートワークがタッチは違えど『Metal City』の延長線のイメージがする通り、前作をほぼ踏襲した作風に仕上がりました。
全10曲40分弱を怒涛の如く駆け抜けていきます。9曲目だけややスローダウン(というほどでもないですけど)しつつも、1から8曲目、そして10曲目と、速い、うるさい、やたらと元気!な曲がズラズラと並んでいます。アルバムの平均速度は歴代最速に数えられるでしょう。
脳天から突き抜けるえげつないシャウトをかましまくるジョン、ダウンチューニングなんて知りません!と言わんばかりに、レギュラーチューニング全開で掻き鳴らしまくるマークと、とても還暦を超えてるオッサンとは思えぬパフォーマンスを繰り広げてます。マイクもさらに本気モードで、細かい高速フィルとツインバスドラを駆使しまくってますね~。
レイヴンのルナティックスなら、間違いなく狂喜乱舞の1枚でしょう。ただし、一般のメタルファンの視点で聴いてみると、個人的には作風が予測がついた点で、前作ほどのインパクトとまではいきませんでした。
速い曲も連続で続く程度なら、おっ!と興奮できたんですけど、嘘みたいにずーっと速いままなので感覚がマヒしてしまい。。。ちょっとやり過ぎ感が出てしまってるのは否めません。良い意味での緩急があってこそ、激速ナンバーが生きてくると思うんですね。速い中での強弱もレイヴンの強みだと思うので、例えば、キャッチーなメタルアンセム(前作のタイトル曲のような)も欲しかったかも。
あと贅沢な悩みですけど、ドラムがあまりに巧すぎて、だんだんマシンのように聴こえてしまうのも難点で、そうした意味ではワッコやジョーのような人間らしい人力感のあるドラムが少しだけ恋しくなりました。
どれもレイヴンの刻印が押されていて甲乙つけがたいですが(先行曲「Surf The Tsunami」は日本のメタルファンとしては、デリケートなタイトルで、ちょっと避けてほしかったですね。。)今回はアルバム3曲目、「Turn of The Screw」をピックアップしました!
ブレイクを繰り返すクールなリフとエモーショナルなソロを繰り出すマーク、ジョンの素っ頓狂で強烈なシャウトとブリブリのベース、適度な速度感で技を繰り出すマイクと、レイヴンのトレードマークが濃縮されています!
それにしても、日本盤CDが1か月半も遅れるうえに3200円近い高値で、ボートラ1曲はコスパ悪いですね、、。パッケージ派なら輸入盤のピクチャー盤デジパックが2300円ですぐ買えます。ちなみに、I Tunesで10曲1120円と格安なので、これと輸入LP盤の組み合わせもよい選択かもしれません!
聴いてほしい度
86%
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