※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2023年8月25日、ドイツのヘヴィ・メタル・バンド、ユー・ディー・オー(U.D.O.)、約2年ぶり18枚目のアルバム『Touchdown』、そして2023年9月1日、同じくドイツのヘヴィ・メタル・バンド、プライマル・フィア(PRIMAL FEAR)、約3年ぶり14枚目のアルバム『Code Red』がリリースされました。
新作レビューは特に重視していないブログなんですが、コロナ明けのためかそこそこ注目の新作ラッシュのため、今日は2作まとめてご紹介しましょう~。
ドイツのニュークリアブラスト・レコーズの創始者、マーカス・スタイガーによって2021年に新たに設立されたアトミック・ファイア・レコーズ。ブラストから仲良く分派したというよりはお家騒動的な様相で、どこぞの芸能事務所みたく、、こちらが本流になりそうな勢いですね~。
日本で比較的人気の高い系統のバンドは、こちらに移行しつつあるので今後の動向にも注目でしょうが、くしくも同時期にジャーマン・メタルの濃い~ところのベテラン2組が新作を揃ってリリースしてきました。
●U.D.O.『Touchdown』
レーベル資料にも書いていないほど(笑)数えきれない多作のU.D.O.は、おそらくスタジオ作としては18枚目!だと思われます。ここのところはAFMから毎年のように、しかも毎度似たような煮え切らない作品を乱発しており(汗)、今回も何ひとつ期待していなかった(失礼!)のが正直なところです。
ストリーミングに上がっていなければ100%スルーしてたであろう今回は、通して聴いた限り、ウドも結構頑張ってますね!冒頭のウドの息子スヴェンによる軽~いドラムロールやスネアサウンドで脱力しかけたものの、聴き進めるとさほど気にならなくなってきました。
往年のような疾走チューンやリフで押す良い楽曲があったり、以外にもメロディが多彩だったりして、ここのところの作品にありがちな単調さがかなり改善されていて、レーベル移籍第一弾の気合は感じますね~。9曲目の「Better Start to Run」のメロディアスなギターとかドキッとしましたよ。以前もAFM第一弾の『Thunderball』が力作でしたし、少なからずそういった意識はあるんでしょう。
この変化の要因として、もうひとつ何よりアクセプト時代の盟友、ピーター・バルデス(B)の参加は外せないところです。ソングライティングや作風に直接作用したのかわかりませんけど、聴く限りはピーターとウドの再合体の効果は相当程度にあったといえますね。
最後に疾走するタイトル曲で締める展開も意外性があって面白かったですが、アルバム中にダレるパートが皆無というわけではなかったので、多すぎる13曲をもう少し絞ってタイトなアルバムに仕上げてくれれば、往年の作品に近づいたかもしれません。
ウドのボーカルも声質がアレなので、逆に衰え知らずに聴こえますし、ピーターも戻ったのであればむしろオリジナルのアクセプトを一緒にやったら?と言いたくなりますね。まあ、プリーストとKKsプリーストみたいな構図で、無用なお家騒動ですけど、ここまでやれるのであれば、和解してほしいなあと逆に願ってしまいました。
今回はアルバム3曲目の「Fight For the Right」をピックアップしました!疾走する典型的なパワー・メタル・チューンですが、シンガロング必至のサビや中間部のクラシックの名曲からお馴染みのメロディを取り入れたギターソロと、アクセプト直系の要素を惜しげもなく盛り込んだのは偉いですね!
聴いてほしい度
84%
アルバムはこちら!
●プライマル・フィア『Code Red』
こちらもレーベル資料にもはや書いていないほど(笑)多作全開のプライマル・フィアですけど、2,3年おきにコンスタントにスタジオ作を積み重ねて実に14枚目!はただただ凄いですね~。今回のアルバムタイトルは、一瞬アイアン・セイヴィアーの「Condition Red」と見間違いそうになりました。
U.D.O.に比べると、ここのところ凡作連発という印象はなく、高値安定というか、常にメタルファンの期待に一定程度応える作品を提供し続けています。今作でもそこのブレは恐ろしいほどに一切なく、純度200%!ピュアメタルここに極まれりという作風は、レーベル移籍も何も関係ないところは頭が下がる思いです。
時にパワフルで時にメロディックで、そこそこドラマティックで、という基本的な作風にも違いはなく、ここまでくるとこの変わらなさを良しととらえるか、マンネリととらえるか、いずれかしかないでしょう。
イングヴェイの偉大なるマンネリズムと、ある意味共通するところはあるのかもしれませんが、常にレベル感の高い作品を呈示してくれるのであれば、ちょっと意地悪い言い方をすると、もう作品や楽曲を絞ってもっと本気をだせば、突き抜けた作品が生み出せるのでは?と勘ぐってしまいます。
やっぱりコンスタントに最高傑作を生みだすのは、どんなバンドでも無理があると思うんですよね~。。まあ、ツアーとリリースを繰り返すバンド活動としては、新作を何が何でもリリースしていくことが生命線であるのは理解できるんですけどね。
せっかくのレーベル移籍第一弾であれば、贅沢を言うならば、10年タームで考えても名作!というところまで楽曲を煮詰めて厳選してほしかった気がします。そういった意味ではこちらも曲多すぎ、8曲40分程度でもいいですよ!
今回はアルバム4曲目の「Cancel Culture」をピックアップしました!冒頭3曲が結構ヘヴィでまったり気味なので、いきなりの2バス激走、ラルフのハイトーン炸裂はテンションマックスになりますね!ヨーロッパのファンには向かないタイプの楽曲ですけど、速い曲大好きな日本盤なら1曲目にしてほしいところです。
聴いてほしい度
82%
アルバムはこちら!