※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2023年9月6日、日本のハード・ロック・バンド、アースシェイカー(EARTHSHAKER)の約5年ぶり24枚目のアルバム『40』がリリースされました。
メジャーデビュー40周年ですか~。初期アースシェイカーは、リアルタイムで文字通り擦り切れるほどに聴きまくり、バンドでもコピーをたくさんしたので、あの頃から40年も経ったと思うと、随分年取ったなあ~と、何とも言えない気持ちになる方々も多いでしょうね。
ジャパメタの本格隆盛から40年の節目でもあるわけですが、トップランナーだったアースシェイカーが、途中の解散期間がありつつも、まさか40年後も同じメンツで活動を続けているとは、想像もできませんでした。
しかも20枚以上のアルバムを重ねて、最新作までリリースするとは、日本のバンドとして、ただただ尊敬の念しかないですし、その事実の重さゆえに、アルバムの内容うんぬんではない価値がある作品であることは良く理解しています。
ただ、ここではアルバムタイトルにある通りの、デビューから40年の歩みに最大級の敬意を大前提にしつつも、忖度抜きでレビューしてみたいと思います!
考えてみると、アースシェイカーのライヴは、80年代当時だけでなく、99年の再結成後も観ていますが、新作にきちんと向き合ったのは、93年の『Real』あたりまでかも?かなり久々かもしれません。
一気に全10曲を聴いて最初に受けた印象は、想像以上にダークだなと。。80年代の初期作でも暗さはありましたがそれとも違い、また、いわゆるヘヴィネスではなく、全体を覆うどんよりと湿ったムードが支配してます。
バラード調の楽曲が多めなせいもあるでしょうけど、アースシェイカーが80年代に放ったキャッチーで歌える即効性を持ったメロディは影を潜め、お世辞にも音質が良いといえないくぐもった音像の中で、あとから時たまメロディがジワジワ染みてくるような感覚ですかね。
40周年の節目だからと80年代に意図的に戻ることはなく、40年のキャリアを経て辿り着いた境地として、より伝統的で、むしろ70sの日本のロックのルーツにさえ遡るような音像、楽曲を奏でています。表現が難しいですけど、いわゆるベテランらしい”雰囲気モノ”のロックテイストを”円熟”として許容できるか否かで好みが分かれるでしょう。
お馴染みのメンバー達の奏でる音像は、アースシェイカー以外の何物でもないですが、正直一番気になったのはマーシーの声質の変化です。2010年ぐらいの作品から高音や力を込めて張り上げた時の声の歪み、ざらつきが気になっていたんですが、今作ではそれが顕著で、、曲によってはピッチが揺らぎやズレて聞こえてしまい。。。脳内補完しても聴きずらさは否めませんでした。
勿論、その年齢を考えると十分に歌えているんでしょうけど、80年代のあまりに凄まじいボーカルパフォーマンスを知るだけに、どうしても比較してしまいます。低めのピッチは違和感が比較的少ないので、現状の声質にあったメロディをもっと導入してもよかぅたのではと感じました。
ドコドコドラムのクドーと歌心のあるベースラインのカイによるリズム隊は、良い意味で変わりませんね。シャラの歌心のあるギターもホント良い意味で変化なく、一番かつてのイメージを想起させてくれました。ただ、ソロでの無駄に過剰なディレイは余計で、、なぜでしょうかね?エンジニアの好みでしょうか?
江川氏に関しては、、個人的に『Overrun』の鍵盤導入で失望し、アースシェイカーは4人編成にこそ馴染みがあるので,未だに正当評価できずにいます。。古めかしい音色の付加も必要性を感じず。。これは好みの問題でしょうけどね。
色々正直に書いてしまいましたが、アルバム中半分とはいわずとも、2,3曲でも80sを彷彿とさせるキャッチーで歌える楽曲があれば、もう少し印象が変わっていたのかもしれません。40周年としての敬意では、聴いてほしい度100%でしょうが、あくまでも作品としての感想です。
今回はアルバム4曲目「旅路の果てまで」をピックアップしました!日本のハード・ロック・バンドだからこそできる侘びサビと情感に溢れた、ジワジワと染みてくるメロディと展開が熟練の技を感じさせる良曲ですね。一番80sの感触に近いテイストを感じました。マーシーの歌も無理がなく自然で、シャラのギターを絡め紡がれるメロディに安心して身を委ねられるでしょう!
聴いてほしい度
70%
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