※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2023年10月27日、イギリスのメロディアス・ハード・ロック・バンド、オーヴァーランド(OVERLAND)の約3年ぶり6枚目のアルバム『S・I・X』がリリースされました。
FMのシンガーとしてお馴染みのスティーヴ・オーヴァーランドの別プロジェクトとして並行で長年展開してきた、自身の名前を冠したオーヴァーランド。アルバムタイトル通り、すでに6枚目を数えます。
昨年3月にFMの最新作をレビューしましたので、本体とオーヴァーランドが2年続けてのリリースだったわけですね~。
80年代後半に登場し、シャイ等とともに英国メロハー勢としてメロディ愛好家に支持されたFMは、1995年に解散したものの2007年に完全復活。そこからは2,3年おきにコンスタントにリリースを重ねていますが、2008年に立ち上げたオーヴァーランドも15年間で6枚ですから、こちらも実に順調といえます。
加えて、シャドウマンの音源制作も同時期に並走していますので、その多作ぶりは目を見張るものがあります。しかも、それぞれが若干の方向性の違いはあれど、メロディ重視で一定以上のクオリティの作品なわけですからね。
どのバンド、プロジェクトにせよ、スティーヴのハスキーで味のある、唯一無二のハイトーンボイスで歌い続ける、前向きな姿勢を存分に感じ取れるでしょう。
さて、オーヴァーランドでは、FMに比べるとブルージーなエッセンスを後退させ、よりわかりやすいイメージのメロハーを実践してきました。それは当初グランド・イリュージョンのアンダース・リドホルムと組んでいたように、作品ごとに変わるスティーヴのパートナーの音楽性に左右される点が大きいわけですね。
ここ2作ではメロハー好きにはお馴染みのトミー・デナンダーを中心としたコラボで、トミーも高い才能の持ち主ですから決して悪くないものの、今ひとつ決め手に欠けるというか、やはりFMに対してのサイドプロジェクト感は否めませんでした。
今回、何の下調べもせず、たまたまストリーミングにアップされた新作を聴いてみたんですが、、これが実にいいじゃないですか!ハード&ヘヴィからメロウまで、比較的レンジの広いテイストの楽曲が収められていますが、どの楽曲にも確固たるフックがあり、メロディもよく最後まで飽きさせません。
聴き終えてから、今作ではワーク・オブ・アートの他でお馴染み、筆者の大好きなロバート・サール(G、Key)との共作だと判明して、なんで今作が聴き応えたっぷりなのか納得しまくりでした。やはり、楽曲やアレンジのセンスが、昨今のメロハー勢の中でも安定して群を抜いてるんですよね~。
そんなロバートとの相乗効果で、スティーヴの魅惑のボイスもいつも以上に映えており、安心してその音世界に身を委ねられます。例のフロンティアーズ系の「作られたメロハー」とは違い、あくまでもアーティストの感性から生まれ創造された、血の通ったメロハー(変な表現ですけど笑)に聴こえるのが、最大のセールスポイントでしょう。
どの曲も良い出来映えなんですけど、今回はアルバム2曲目「Disconnected」をピックアップしました!メロハーでありつつも、西海岸の爽快でキャッチーなAOR風味も感じられる佳曲ですね~。こうした楽曲もスティーヴのソウルフルな魅惑のボイスで、見事にオーヴァーランド色に染め上げているのは流石ですね。
しかし、日本盤は現時点で未決定ですか。。メロハーでも出なくていい日本盤が出てるのに(汗)、本作がスルーされるとは残念な状況ですが、オススメ盤です!
聴いてほしい度
88%
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