※古きを聴いて新しきを知る。遠い昔になった時代の楽曲を振り返ります!
アメリカのハード・ロック・バンド、ストレイ・ドッグ(STRAY DOG)が、1973年にリリースした1枚目のアルバム『Tramp (How It Is)』の1曲目に収録。
1970年初頭に結成されたストレイ・ドッグは、テキサス出身ながらロンドンへと拠点を移し活動した変わり種のパワートリオです。そんな経歴ゆえにアメリカのバンドですけど、ブリティッシュ・ロックの歴史の文脈で語られていますね。
結成当初はアフロディーテ名義で活動していた彼らは、72年にデンバーで行ったライヴを観たエマーソン、レイク&パーマーの関係者に見出され、ELPが立ち上げたばかりの新興レーベル、マンティコアとの契約を獲得。渡英してストレイ・ドッグへと改名しました。
実際にELPのグレッグ・レイクがプロデュースし、マンティコア第一弾のアルバムとして制作されたのが本作でした。ライナップはウィリアム・ギャレット"スナッフィー"ウォルデン(Vo,、G)、アラン・ロバーツ(B、Key)、ランディ・リーダー(Ds)となっています。
ベースとなる音楽性はクリームやジミヘン辺りを彷彿とさせる、いわゆるブルージーなハード・ロックと言えるんでしょうが、改名した「狂犬」の名の通り、想像以上に暴れまくり、ウネリまくるハード・ドライヴィンな音像の凄まじいこと!ELPが関係しているゆえか、少々プログレのエレメントも感じさせるのが面白いところですね。
筆者は後追い世代ですけど、当時のアナログの帯キャッチには「ストレイ・ドッグ!今、最も注目されているマンティコア・レーベルからロック界を揺るがす本格派ハード・ヘヴィ・ロック・トリオが誕生!」と熱い文句が躍ってます。今聴いても十分刺激的なので、リアルタイムで聴いたロックファンの方々は、相当なインパクトを受けたんじゃないでしょうか。
今回ピックアップした、アルバムオープニングを飾る「Tramp (How It Is)」は、ストレイ・ドッグ流儀によるブリティッシュ・ハード全開の激烈なロックチューンです!
6分以上の尺がある楽曲ですけど、長めのイントロSEで散々焦らせて、いきなり感情を爆発させるように走り始める劇的な展開に、アドレナリン全開になること必至ですね〜。それにしてもスナッフィーの終始暴れまくるギターを核にしたトリオの絡み具合はカッコイイなあ〜。
デビューから十分な作品を生み出したにも関わらず、商業的には成功を手に入れることなく、2枚目では5人編成になるなど迷走し、1976年に解散してしまいました。それだけに本作は唯一生み出された貴重な1枚と言えるでしょう!
ぜひ、一度聴いてみてください!