日本の音楽評論家 / DJ / 音楽プロデューサー、渋谷陽一さんが、2025年7月14日、74歳で亡くなりました。
70年代、80年代から洋楽を聴いて育ってきたロックファンにとっては、ひとつの時代が終わったように感じる訃報が飛び込んできました。知らなかったのですが、2023年11月に脳出血で療養に入り、その後他の病状も併発していたようです。
今の若い世代の音楽ファンから見れば、あのロッキンフェスを作った偉い人、みたいな見方なんでしょうが、そうした経営者としての成功や、もはや文化人的な立場で語られるようになっても、我々世代から見ると洋楽の音楽評論家、DJとしてのイメージが未だに色濃く変わっていません。
誰もが自分の意見を発信できる時代の今では、音楽評論家という仕事自体が無きに等しいですし、ラジオと同様にDJの価値観も変わってしまいましたが、当時の渋谷さんの評論家、DJとしての発信力の強さは、全国の若き洋楽ロックファンに計り知れない影響を与えたと思います。
ヘヴィ・メタルやハード・ロックのファン目線から見ると、音楽評論に対しての評価は賛否が分かれるのかもしれません。なぜなら渋谷さんの嗜好からは範囲外のジャンルで、ジューダス・プリーストのようなメタルの様式美を毛嫌いしていましたし、最も敬愛するレッド・ツェッペリンが、メタルの範疇で語られることを完全否定していました。また、エイジアやジャーニーといったアーティストに、産業ロックの名を軽蔑する視点から冠していたのも知られるところでしょう。
それでも個人的には、渋谷さんをきっかけに知ることになったメタルやハードロック作品やアーティストは数多く、洋楽を聴き始めてまもない多感な時期だっただけに、その影響力はある意味、伊藤政則さん辺りと並ぶものでした。それは全国どこでも聞けたNHK-FMから発信されていたの番組が大きかったでしょう。
とりわけ「サウンドストリート」は、毎週楽しみにエアチェックしながら聴いていました。自身が好きでなくても、メタル、ハード・ロック、産業ロックといったカテゴリーのアーティストを意外とオンエアしてくれ、時に皮肉たっぷりのコメントもむしろ面白く感じましたね。年末にその年のベストアーティストをランキング形式で発表する特番も面白くて、渋谷さんも推していたBOWWOWを知ったのも、その番組を通じてでした。
ロックらしからぬ育ちの良さそうな(実際にそうだった)雰囲気と、歯に衣着せぬ音楽評論で多くのロック好きな若者に影響を与えた渋谷さん。今回の追悼の1曲は、やはりレッド・ツェッペリンからでしょう。ツェッペリンを語る時の見違えるような熱い激推しぶりに影響されて、ツェッペリンの音源を辿るきっかけも与えてくれました。もうすぐ公開のドキュメンタリー映画はご覧になったのでしょうか。。
渋谷さんが特に推していた印象が強いアルバム『Presence』から「Achilles Last Stand(アキレス最後の戦い)」を聴きながら、ご冥福をお祈り申し上げます。
R.I.P 渋谷陽一さん
