※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2025年8月27日、アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、ヴィシャス・ルーマーズ(VICIOUS RUMORS)の約5年ぶり14枚目のアルバム『The Devil's Asylum』がリリースされました。
先日レビューしたハロウィンと同タイミングで、ヴィシャス・ルーマーズ久々の新作がひっそりと?リリースされてました~。
2023年に16年ぶりの来日を果たし、真性メタルマニアの大歓迎を受けた大ベテランのヴィシャスだけに、それから初となるアルバムに期待が高まります。来日時のメンバーでの制作と思いきや、またまた違うラインナップになったのは、これまでも面子が流動的なヴィシャスのお約束でしょうか。
まあ、結成以来の総帥ジェフ・ソープ(G)さえいれば、ヴィシャス・ルーマーズを名乗り、バンドとして成り立つわけですからね。加えて、永きに渡りボトムを支えるパワーヒッター、ラリー・ハウ(Ds)は勿論、今作でも健在なので大勢に影響ないんでしょう。
その他は来日メンバーでもあったロビン・ウトブルト(B)に加え、新顔のブライアン”チャリス”ベターソン(Vo)、デンバー・クーパー(G)というレコーディングメンバーによる新作となりました。
さてさて肝心のサウンドの方は、80年代から脈々と紡がれてきた、まごうことなきヴィシャス・ルーマーズの刻印が押されたメタルがこれでもかと展開されていきます。スラッシーでもなく、モダンさやヘヴィネスを強調するでもなく、トラディショナルなメタルのど真ん中を愚直に突き進む音像は、パワー・メタルでありつつも、これぞ「ヘヴィメタル」と呼ぶのが最も相応しいでしょう。
2025年になっても、決して時代に流されない稀有なバンドスタイルという意味では、ケチのつけようがないんですけど、大好きなバンドという観点であえて苦言を呈すると、楽曲の出来にバラつきがあり、とりわけ疾走に頼らないミッドチューンが多いこともあり、ややもすれば退屈な瞬間が散見されたのも事実です。
初期の名盤群においても、超強力な名曲とやや捨て曲気味(汗)のモノが同居していましたけど、すべてをねじ伏せるように作品のクオリティを引き上げていたのが、完璧に歌い上げる今は亡き名シンガー、カール・アルバートの歌唱力でした。
今作のシンガーであるチャリスが、カールとはスタイルが違う、どちらかといえばダーティーな声質でがなり立てる系のシンガーでして、、ハイトーンパートも終始抑えめ。メロディの抑揚があまり感じられない、ヘヴィネス色が強い楽曲を最後まで聞かせるには、少々役不足なんですよね。。
あと、ジェフも特徴的なリフを随所で聞かせてくれるものの、楽曲によっては単調でアイデアも枯渇気味。ツインのパートナーも毎度変わっているので、本来売りであるツインギターが完璧に機能しているとは言えません。
バンドが継続しているだけでも嬉しいことですし、「これぞメタルだ!」とシンプルに言える貴重なバンドだけにあれこれ言いたくないんですけど、だからこそ今のシーンにおいても存在感を示す強力な作品を期待した次第です。やや消化不良で歯がゆさも感じますが、楽曲を選びつつ楽しんでいきたいですね。
今回の1曲はやはり疾走曲を選びたく、アルバムのオープニングを飾る「Bloodbath」をピックアップしました!聴き始めて「おっ!」と期待を抱かせるイントロですし、わかりやすくヴィシャスの魅力を伝える要素てんこ盛りの楽曲だからこそ、超音波ハイトーンをガツンとかましてほしかったですね。
聴いてほしい度
70%
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