日本のロック・バンド、 シーナ&ロケッツ(SHEENA & THE ROKKETS)のギタリスト、鮎川誠さんが、2023年1月29日、74歳で亡くなりました。
年明けから内外の大物アーティストの訃報が続きますが、日本ロックシーンが誇るレジェンドの訃報が届いてしまいました。。SNS上のトレンドを独占し、一般のニュースでも大きく取り上げられるなど、鮎川氏の偉大さが改めて伝わってきます。
シーナ&ロケッツは勿論メタルではありませんけど、筆者のような洋楽のHM/HRやジャパメタを中心で聴いてきた方でも、鮎川氏の存在や活動、奏でるギターに一目を置いていた人たちは少なくないと思います。今回の訃報に際して、例えばメタルシーンではラウドネスの高崎晃からも、追悼のコメントが出されていたのは印象的でした。
サンハウスを経てシーナ&ロケッツを結成し、「You May Dream」がヒットしたのが79年。個人的に熱心に追いかけていたわけではなくとも、ロックを聴き始めた初期の頃からリアルタイムで鮎川氏がずっと存在しているのが当たり前だった、そんな感覚があります。
当時テレビで流れたニューイヤーロックフェスの映像を見て、スラリとした長身で黒いレスポールを弾きまくる鮎川氏のステージパフォーマンスは、問答無用にカッコよさを感じたものです。それから40年以上、文字通り最後までロック一筋で駆け抜けた人生には敬意しかありません。
鮎川氏の身体の一部としてロックし続けた相棒が、黒の69年製ギブソンレスポールカスタムでしたね。40年前に新品でピカピカだったボディの塗装が次第に剝がれていき、ついにはネックで良く抑える部分にくぼみができるまで使い込まれていくさまも、鮎川氏のロックに賭けた生き様を反映しているかのようでした。
ここまでロック拘った鮎川氏ですが、九州弁で朴訥と話す姿は、いわゆる荒くれモノのロックっぽさ皆無の人柄が滲み出ているようで、九州大学出身のインテリぶりも相まって、そのギャップも多くのファンの心を掴んできたのでしょう。
80年代初頭にはアメリカのA&Mと契約にこぎつけたり、GBCBへの出演を果たしたり、日本のロックバンドで初めてインターネットのHPを開いたりと、さまざまな挑戦を実践してきた活動も、本当の意味でロックだったんだなあと改めて実感します。
これは仙台で開かれたR&Rオリンピック出演時の映像で、「レモンティー」でのライヴパフォーマンスやレスポールのぶっとい音の歪み具合も最高なんですが、何より最後に入っている鮎川氏、そしてシーナ氏の短いながらも印象的なコメントが、今になって心に染みてきます。
今回の追悼の1曲は『真空パック』から「YOU REALLY GOT ME」をピックアップしました。お馴染みキンクスのカヴァーですが、HM/HRファン目線では、近い時代に同じくカヴァーしたヴァン・ヘイレンのヴァージョンとの解釈の違いがとても興味深いですね。この曲を聴きながら、鮎川誠さんのご冥福をお祈り申し上げます。
R.I.P 鮎川誠さん