エイプリル・ワイン(APRIL WINE)のリードシンガー・ギタリスト、マイルス・グッドウィン(Myles Goodwyn)が、2023年12月3日、75歳で亡くなりました。
カナディアン・ハード・ロック・シーンが誇る名バンドを支えてきた中心人物、マイルスの訃報が届いてしまいました。アルコール依存によって2008年頃から体調を崩し、2023年には、やはり健康面の問題でエイプリル・ワインの活動から離れる表明をしていました。
1969年の結成以来、70年代から80年代初期の黄金時代、その後の一時解散を経ての再結成と、時代ごとに起伏のあったバンド史において、一貫してエイプリル・ワインを導いてきたのがマイルスでした。
バンドとして残したアルバムは16枚、カナダ国内ではシングル30枚以上リリースし、音楽の殿堂入りを果たしました。本国を中心に世界も含めると1000万枚以上のセールスを残すなど、70年代から80年代前半を中心に、輝かしい実績を残しました。その大半の曲をマイルスが書いてきたわけですね。
さらにソロとしても2枚の作品を残し、2000年代に入ってからは、自身も幾つかの名誉ある賞を受賞。回顧録として発表した著書も好評を博すなど、本国やアメリカでは後年になってその功績が称えらえれていた感があります。
一方の日本では、正直その知名度やセールスは微妙で、本国の状況と雲泥の差がありましたが、通好みのカナディアン・ハード・ロッカーとして、隠れたファンも少なくなかったはずです。
HM/HRファンから見れば、イギリスのキャッスルドニントンで行われたモンスターズ・オブ・ロックの記念すべき第一回にラインナップされたのが印象的でしたね。個人的にはライヴLPを当時買って、楽曲は「I Like to Rock」を聴きながら、エイプリル・ワインを初めて認識しました。
オーソドックスで豪快なハード・ロックを奏でたエイプリル・ワインですが、何といっても以前のコラムでご紹介した名曲中の名曲「Just Between You and Me」に尽きるでしょう。この曲は何度聴いて、どれだけの感動を与えてくれたかわかりません。
心に染み渡るこのパワーバラードを書き上げたのも当然マイルスで、琴線に触れるボーカルと泣きまくるギターワークもマイルスによるもの。その才能と与えてくれたものに、心から敬意を表したいですね。
追悼の1曲として、今回は代表作『The Nature Of The Beast』から、カヴァーですが、もう1曲大好きな曲を選びました。哀愁たっぷりのハード・ロックの中で、マイルスの味わい深いボーカルが堪能できる「Sign Of The Gypsy Queen」を聴きながら、ご冥福をお祈りしたい思います。
R.I.P. Myles Goodwyn