スコーピオンズ (SCORPIONS)の元ベーシスト、フランシス・ブッフホルツ(Francis Buchholz)が2026年1月22日に亡くなりました。71歳でした。
70年代から80年代にかけて、メタルやハードロックに夢中になった方々には、「スコーピオンズ のベーシストといえばこの人」と断言できる、馴染み深いフランシスの訃報が届いてしまいました。スコーピオンズ 脱退後も、ドリームタイドやマイケル・シェンカーとの音楽活動等で、フランシスの名前に触れる機会がありましたが、近年はガンとの闘病の日々を送っていたようです。
フランシスはスコーピオンズの原点として知られる、ドイツ・ハノーファーに生まれ、ウリ・ジョン・ロートとドーン・ロートで活動。そこからウリとともに初期スコーピオンズ に合流する形で、世界に向けたスコーピオンズ の礎を築いていきました。
その在籍期間は1992年に脱退するまで18年にも及びましたが、参加した作品は1974年の『Fly to the Rainbow』から1990年の『Crazy World』に至るまで、スコーピオンズ の黄金期のみならず、まさにメタル、ハードロック黄金期に誰もが聴いた作品ばかり。我々はそれだけフランシスのベースプレイを、知らず知らずに聴いてきたわけです。
スコーピオンズ といえば、クラウス、ルドルフ、ウリ、マティアスら加えて、リズム隊仲間のハーマンも含め、いずれも押しの強い個性的な濃い面々ばかり。そうした中で、フランシスはベーシストに徹して唯一バンドのボトムを支える、どこか黒子的なイメージがありました。
実際には、ベースプレイでいえば、フェンダープレシジョンベースを愛用したピック弾きを主体に、ギターリフとユニゾンしたルートを堅実に押えながらも、随所でメロディアスで絶妙なフレーズを織り込み、楽曲に様々な色合いを与えました。自身が目立つのではなく、その楽曲の最適解なベースラインを奏でてくれてたんですね。
ライヴでも長身スリムな肢体を生かして、前述の個性派の面々と並び、にこやかな笑顔で快活なパフォーマンスを披露。それでも一人どこか紳士的なムードを漂わせていたのは、ハノーファー大学で機械工学を学び会社を経営するなど、インテリ的な側面があったからかもしれません。
個人的にはスーパーロック84での勇姿が思い浮かびますが、あの歴史的なイベントに出演していたアーティストがまた一人この世を去った事実は、歳月の流れを改めて実感させられます。この機会にフランシスが残したベースプレイに集中して、スコーピオンズ の名作群を一気に聴き直したいですね。
今回はフランシスの野太くうねるベースラインが楽曲を支える名インスト「Coast to Coast」を、その勇姿をジャケットで確認できるライブ盤『World Wide Live』のヴァージョンで聴きながら、ご冥福をお祈りしたい思います。
R.I.P. Francis Buchholz
