※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2023年4月14日、アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、メタリカ(METALICA)の約6年半ぶり12枚目のアルバム『72 Seasons』がリリースされました。
上半期にして今年のメタルシーン最大の話題作、メタリカの新作が無事発売されましたね~。先行曲「Lux Æterna(ルクス・エタリナ)」は、ストリーミング解禁してすぐ、以前ご紹介しましたが昨年11月末でしたから、リリースに向けて約5カ月かけて盛り上げていくプロモーションが展開されたことになります。
小出しに楽曲が先行公開されましたし、リリース日直前には、日本を含む全世界同時での先行試聴会を映画館で敢行するなど、斬新な手法だけでなくアナログのイベントもうまく挟みつつ盛り上げていく手法は、さすがとしかいいようがありませんね〜。
ここのところのメタル系のリリースラッシュの話題を、一手にかっさらっていきそうなメタリカですが、事前の予告通りに全12曲約77分というヴォリュームの長尺作品に仕上がっています。
ストリーミング解禁されてすぐ、当日夜中の0時過ぎから早速聴いたんですけど、まずは一周してみてサウンドの質感や方向性としては、前作『Hardwired... to Self-Destruct』に近いようで、実際に続けて聴き比べてみると微妙に同じではない印象を持ちました。
「Lux Æterna」で示したように、自らのルーツに立ち返っていくような楽曲でもっと支配されるのかと思いきや案外そうでもなく、音色こそヘヴィネスでなくとも、90年代のブラックアルバム以降のグルーヴィーなメタリカ色を滲ませた楽曲も(個人的には残念ながら)散見されます。
比較的アップテンポで(想像通り決して激走ではありません汗)、かつてのスラッシュっぽいエレメントを微かに残した楽曲もありますし、サウンドの質感は一聴してわかる”メタリカらしさ”で統一しながらも、結果的に全時代のメタリカファンが望む最大公約数の楽曲が収められた印象がします。
これだけ長い歴史を持ち、圧倒的にシーン随一の地位と人気を誇るモンスターバンドですから、どんな作品をリリースしても賛否が分かれるのは致し方ないところでしょう。そうした意味で、メタリカを一度でも好きになったロックファンを、ある程度満足させる作風になっているのは間違いないでしょうね。
アルバムの宣伝文句に見られた「最高傑作」には、さすがにおいおい!と異を唱えたいところですが(汗)、筆者にとっても前述の観点で前作と同程度には満足した作品になりました。但し、敢えてどうなの??と気になってしまったのは、とにかく曲がやたらと長いなあ~という点です。
5分6分以上は当たり前で、7分強、ラストは11分越えですからね。しかも必然性が感じられる長さではなく、無駄に長い。。グルグルリフを垂れながしてまた最初のリフに戻って永遠と続く、みたいな印象の楽曲が多く、全編ダレずに一気に聴き通すのはなかなかヘヴィです。
ラーズのドラミングのパターン、テンポ感が画一的になっていて、そうした点も聴感上に左右しているのかもしれませんね。ちなみに「Lux Æterna」は3分半ですから、ビシッとムダのない作りになっているからこそ、個人的に知らず知らずに気にいったのでしょう。5分以下の楽曲をバランス的にもっと増やしてくれたなら、同じトラックリストでもガラッと印象が異なったでしょうね。
ということで、今回は10曲目に収められた「Too Far Gone」をピックアップしました!4分半という最適な尺の楽曲で、軽快でヘヴィなギターリフとドラミングのコンビネーション、キャッチーとさえ言える覚えやすいジェイムズの咆哮が胸を熱くさせる、クールなヘヴィ・メタル・チューンです!古くて新しいメタリカの魅力がコンパクトに詰め込まれていますね!
さて、本作を引っ提げての10年以上ぶりの来日公演は果たして実現するのでしょうか。。
聴いてほしい度
84%
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