※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2024年3月8日、イギリスのヘヴィ・メタル・バンド、ジューダス・プリースト(JUDAS PRIEST)の約6年ぶり19枚目のアルバム『Invincible Sheild』がリリースされました。
昨年の10月に先行第一弾曲「Panic Attack」の新曲レビューをして以来、約5か月を経て、ついにジューダス・プリーストのフルアルバムが届きました!
今回はデラックスエディションと通常盤があり、デラックスは3曲追加されていますが、ストリーミングにもバッチリ上がっており、全て聴くことができます。
この5か月の間に、1曲1曲焦らすように新曲が公開されていき、そのどれもが流石の仕上がりを見せていたので大方の想像はできましたけど、こうしてフルで全曲揃った状態で聴くと、改めてデビュー50周年のタイミングに相応しく、凄まじいアルバムを送り出してきたな!と実感させられますね~。
個人的にプリーストをリアルタイムで聴いてきたのは約45年程になりますけど、オリジナルの過去18作の中でも「当たり」の1枚であるのは間違いないですし、充実の前作『Firepower』をも凌駕し、『PainKiller』以降でも1番の出来では?といっても過言ではないかもしれません。ネット上ですでにCDを手に入れたHM/HRファンの方々が、概ね絶賛のコメントを書き込んでいるのも納得できますよね。
まずは、プリーストの発明品と言えるメタルギターリフが良い!ちょっとひねりを聴かせつつも、自らが生み出したメタルの基本に忠実で、やっぱりこれだよな~と、思わず呟いてしまいますね。トレードマークのツインリードも過不足なく盛り込まれています。
そして、齢70を超えたお爺さん(敢えて言わせてもらいます)とは思えない、メタルゴッド、ロブ・ハルフォード渾身の歌唱、シャウトと芳醇で力強いメタルヴォイスの素晴らしいこと!スタジオでのパフォーマンスとはいえ、ここまで”歌えてる”のは驚異的の一言ですね。
アルバムとしては、なにせアタマ3連発のインパクトがデカすぎて、ここで満足お腹一杯になってしまいます(笑)。前半の畳みかけが強烈すぎるゆえ、少しクールダウンして聴かせる後半は、少しダレを感じる曲がちらほら見受けられるのも事実ですけど、元々、プリーストはどんな名盤にもこれは捨て曲?と首を傾げたくなる謎曲が混ざってたりするので許容範囲でしょう。
試しに、ストリーミングの並び替えで、モダンヘヴィネスな9曲目、11曲目をカットして(汗)、デラックス盤のみの14曲目を最後に持ってきて、10曲入りアルバムにするとなかなかいい感じにバランスが取れました(笑)。
50周年の節目にヘヴィ・メタルとは何かをがっぷり四つで改めて定義し直した、そんな気概がひしひしと伝わる力作ですが、これを生み出せたのは、3世代に渡る現行メンバーそれぞれの能力が、最良の形で機能した結果といえるでしょうね。
プリーストの源であるロブ、イアン・ヒルそしてグレン・ティプトンの伝統芸、不朽の名作『PainKiller』をかつて生み出す原動力のひとつになったスコット・トラヴィスのパワーヒット、そして、現代のメタルに通ずる新しい世代のリッチー・フォークナーが吹かせる新風と変革性。まさにプリーストの歴史を作ってきた3世代それぞれが、絶妙に混ざり合い役割を果たしているのが伝ってきます。
制作面で黒子に徹したアンディ・スニープも、新世代からの視点を絶妙に織り交ぜ、卓越した仕事ぶりを今回も発揮してますけど、とりわけ全て面においてバンド全体をフレッシュな状態にチューンナップするうえで、多大な貢献を果たしたリッチーにはMVPを送りたいですね。
それにしても、ここまで現行プリーストの充実ぶりをまざまざと見せつけられると、もはやKKが出る幕はないかもしれません。。(メイデンのようにトリプルギターというアイデアはあるかもですが)。
メタルとはかくあるべき、という今作を聴いていると、プリーストがもしいなくなった後、メタルはどうなってしまうのか?なんて不安に駆られてしまいますけど、ロブ曰く、19で終わるのではなくすでに20作目!を視野に入れているようで、その身体が動く限り創作し、ステージに立ち続けてほしいものです。
今回はずばりタイトル曲の「Invincible Sheild」をピックアップしました!ひと捻りあるリズムとリフがクールですね~。ヴァースでの「Sinner」、ソロ前の「Tyrant」とそれぞれ引用が心憎くて良すぎますし、リッチーが事前に言っていた、”プログレッシヴ””70年代風”の意味がよくわかる逸品です!
聴いてほしい度
90%
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