※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2024年3月29日、スウェーデンのメロディアス・ハード・ロック・シンガー/ソングライター、エミル・シーグフリードソン(Emil Sigfridsson)の約17年ぶり3枚目のアルバム『Back To Yesterday』がリリースされました。
今日のメロハー括りは新作レビューでいってみましょう~。このエミル・シーグフリードソンのアルバムは日本では新作扱いですが、本国では昨年にリリース、ストリーミングにもすでにアップされていましたね。実際には2022年からシングル6枚を順次デジタル配信して、それらの楽曲もまとめたアルバムという扱いになります。
以前ご紹介したレメディもそうでしたけど、フロンティアーズものとは違い、かなりタイムラグのあるメロハーのリリースが散見されますよね。ただでさえCDが売れない時代にあり得ないスケジュール感ですけど、本国盤が出た時点では気づかずに、評判を聞きつけて後追いでピックアップしてるんでしょう。
そんなエミルのアルバムですが、聞き覚えのないアーティスト名だけにニューカマーと思いきや、キャリアは2000年代初頭に遡ります。2002年に本国で人気を誇るTVタレント番組「Fame Factory」に出演したことで、一気に知られるようになったエミルは、2003年に本国語で歌唱したデビューアルバム『Tillbaka till igår』をリリース。
これがスウェーデンチャートでいきなり1位を獲得。ゴールドディスクにも輝きました。2004年にはのちに2枚目のアルバムに収められた楽曲「Innan mörkret faller」で本国の著名なコンテストMelodifestivalenに出場、アーティスト活動を拡大していきます。
2007年にはこちらも本国語歌唱の2枚目の『Antiligen』をリリース。この2枚のアルバムはメロハーではないものの、メロディを大切にしたAORを基軸にした作風で、ストリーミングで聴くことができますね。
その後はさまざまなミュージカル等にアーティストやプロデューサーとして携わりながら、その才能を発揮してきたエミルでしたが、ここにきてメロハー寄りのソロ作品を仕上げてきました。そのパートナーとなったのが、北欧メタルマニアには知られるスウェーデンのメロディック・メタル・バンド、スプリーム・マジェスティのギタリストのビヤス・ウェルナーソンでした。
トビヤスはプロデュース、ソングライティングに加え、ギターは勿論、ベース、キーボードといった大半のバッキングを担当。ドラムとキーボードでアディショナルなメンバー2人も参加していますが、2人三脚で作り上げた様子がうかがえます。
レディー・ガガのカヴァーを除く11曲は、キャッチーでポップなフィーリングを放つ産業ロック系のメロハーに仕上がっています。北欧特有の透明感や哀感は全体には薄目で、ボン・ジョヴィライクなアメリカンテイストを感じさせるのは意外でしたね。
エミルの味わい深い歌唱はさすがの貫禄ぶりで、そのキャリアと実績がなせる業でしょう。むしろ、チープさが際立つバッキングと、良曲なれどどこかで借りてきたフレーズ連発の楽曲が足を引っ張っており、エミルの歌唱に見合わない感が否めません。
サウンド面ではドラマーのクレジットはありますけど、マシンのようなペラペラでドライ、奥行きのない音作りには閉口させられますし、楽曲面では「Hold On」がボン・ジョヴィの「Come Back」パクリ度合いが凄いことになってます。。前2作のリッチな雰囲気で、よりAORテイストをミックスしたメロハーに仕上がればベストだったかもしれませんね。
今回は3曲目の「Be Gentle」をピックアップしました!サバイバーをほうふつとさせるメロウなAOR系のハードバラードですけど、こうしたタイプの楽曲はエミルのヴォーカルがピタリとハマって心地よく聴き惚れることができます。声質はジミ・ジェイミソンにも似てるなあ~。
色々書きましたけど、期待を込めて今後もメロハー界隈で良質な作品や活動を重ねてほしいですね!
聴いてほしい度
70%
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