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【新作レビュー】グランド・スラム(GRAND SLAM)『Wheel Of Fortune』

※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!

 

2024年6月7日、イギリスのハード・ロック・バンド、グランド・スラム(GRAND SLAMの約5年ぶり2枚目アルバム『Wheel Of Fortune』がリリースされました。

 

グランド・スラムといえば、90年代に活躍したジャパメタバンドの方をついつい思い浮かべてしまうんですが(笑)、こちらは1984年のシン・リジィ解散後にフィル・ライノット(B,Vo)が、スタンピードのローレンス・アーチャー(G)、マグナムのマーク・スタインウェイ(Key)らとともに結成したアイルランドのバンドが母体ですから、タイミングは先ですよね。

 

当時はこれからグランド・スラムとしての活動を、活発化していこうとした矢先の1986年1月に、周知の通りフィルが急逝してしまったことで、その活動は休止状態を余儀なくされました。ところが、30年もの歳月が流れた2016年に、マークがローレンスらを迎えて、突如グランド・スラム名義での再結成が実現。フェスへの出演を果たしました。

 

そこから発展し、ローレンスが2018年に異なるメンバーを集めてレコーディングに突入。マークはゲスト参加という形で、2019年に初の正式音源となる1枚目のアルバム『Hit the Ground』をリリース。

 

ここにはフィルがゲイリー・ムーアとコラボした「 Military Man」、フィルのソロとしてリリースされた「Nineteen」をはじめ、フィルが生前グランド・スラム用に用意しつつ、別の形で既発済の楽曲も再録されました。こちらの作品もストリーミングでアップされていますので、比較して聴くのもいいでしょうね。

 

それから5年を経て発表されたのが本作ですね。今回のラインナップを整理しておくと、ローレンスに加え、前作同様のマイク・ダイヤー(Vo)とベンジイ・レイド(Ds)、そしてベーシストがライオンハートのロッキー・ニュートンに交代しています。マークのクレジットは今作ではありません。

 

前作ではかつての楽曲を幾つも盛り込み、永き時を経ながらもフィルの意志を受け継ぐことを第一義した作品で、ある意味では限定的な復活といった感もしました。そんなこともあり、2枚目が出ることもあまり想定できなかったので、さほど期待を抱かなったのが正直なところなんですけど、、、実際聴いてみると、むしろ前作以上に個性が出て良い出来じゃないですか~。

 

今作でも当然フィルの遺伝子を受け継ぎつつも、それを良い意味で昇華して、遅咲きながらパーマネントなバンドとして胎動し始めた、そんな印象すら受ける充実作に仕上がっています!

 

楽曲にしても、シン・リジィらしさを漂わせながら、さらに一歩踏み出してパワフルでメロディアス。大人のブリティッシュ・ハードならではのテイストがたっぷり味わえます。また、ローレンスの豊潤なメロディを内包したギタープレイに代表されるパフォーマンスも、さすがにこなれていて、ベテランならではの老練な技を感じさせてくれるのがいいですね~。

 

今回はアルバムの1曲目に収録された「There Goes My Heart」をピックアップしました!なんだかんだと冒頭からツインギターがさく裂するシン・リジィ丸出しの曲なんですけど(笑)、それを抜きにしても単純にメロディや楽曲が良質で、グイグイ引き込まれます。

 

マイクのハード・ロック・シンガーらしからぬ、中低音ボイス(笑)が妙に耳に残って離れずクセになりますね!

 

聴いてほしい度

82

ピックアップ曲はこちら!

There Goes My Heart

There Goes My Heart

  • provided courtesy of iTunes

 

アルバムはこちら!

Wheel Of Fortune

Wheel Of Fortune