※古きを聴いて新しきを知る。遠い昔になった時代の楽曲を振り返ります!
アメリカのハード・ロック・バンド、パイパー(PIPER)が、1977年にリリースした2枚目のアルバム『Can't Wait』の1曲目に収録。
筆者にとってはリアルタイムにはぎりぎり間に合わなかったんですが、70年代半ばにミュージックライフを愛読していた年季の入ったロックファンは、このパイパーを覚えているでしょう。デビュー作の日本盤解説は、ML編集長の水上はるこ氏ですね。
1975年にニューヨークで結成されたパイパーは、のちにソロアーティストとして大成功を収めるビリー・スクワイアーを中心とするバンドでした。
メジャーのA&Mレコーズと契約したパイパーは、ビル・オーコインがマネージメントを担当します。ビルはキッスのマネージメントでお馴染みですが、同時期にフロントマンのマイケル・スミスをフィーチャーした新星のスターズも売り出しており、パイパーとは兄弟バンド的な見方をされていましたね。
パイパーは1977年にエディー・クレイマーがミックスしたデビュー作『Piper』に加え、同年にはニューヨークのエレクトリック・レディ・ランドでレコーディングされた2枚目の本作を立て続けにリリース。キッスのマジソン・スクエア・ガーデン公演の前座を務めるなど、同マネジメントを活かして強力なプロモーションがなされました。
どちらのアルバムも、典型的な70年代アメリカン・ハード・ロックのテイストが感じられます。ビリーが中心となって手がけた楽曲は、メロディの扇情度は正直弱いものの、わかりやすくコンパクトなものが並んでおり、キッスというよりチープ・トリックに近い感触を受けるでしょう。
地元の東海岸では人気を博したものの、あくまでもビリーをソロで売り出すための布石だったのも事実。2枚のアルバムの裏ジャケはビリーしか写っていません(笑)。結果的に短期間でパイパーは解散し、ビリーは1979年にソロ契約を獲得しています。
今回ピックアップした「Can't Wait」は、パイパーの楽曲では最もキャッチーかつポップなテイストが強く感じられるハード・ロック・チューンです!甘く切ないメロディラインとビリーの歌唱がぴったりマッチしていますね〜。
ヒット性を秘めた楽曲だっただけに、日米でシングルカットされており、日本盤「嵐の誘惑」という、当時ありがちな謎の邦題がつけられています(笑)。
ぜひ、一度聴いてみてください!