※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2024年7月26日、ドイツのヘヴィ・メタル・バンド、パワー・ウルフ(POWERWOLF)の約3年ぶり9枚目のアルバム『Wake Up the Wicked』がリリースされました。
サバトンらと並び、今や正統派ヘヴィ・メタルの雄としてヨーロッパマーケットを席巻、全米マーケットにも照準を合わせ始めたパワーウルフの新作が登場しました~。2005年のデビュー以来、実にコンスタントかつ高水準の音源制作を重ねてきていますね。
ヨーロッパの状況に比べると、日本では日本盤の発売も後追い程度で浸透度に欠ける感がありますが、そもそものメタルに対してのマーケットの規模感が違い過ぎることに加え、聴き手を必然的に選んでしまう白塗りの外見や、海外の史実に基づく宗教的な世界観が理解しにくいなど、さまざまな要因がそこにはあるように思えます。
筆者もブラックメタルの亜流か~、などと最初はちょっとした拒否反応(キング・ダイアモンドは平気なくせに笑)があったんですけど、音を聴いてみるとどこまでも実直でドラマティックな王道パワー・メタル全開で、ごめんなさいという感じでしたね。
短いスパンで世に送り出された今作でも、基本的に標榜する路線は全く変わっておらず、パワーウルフというバンド自体が脂の乗り切っており、創作意欲やアイデアが次々と湧き出でている状態なんでしょう。
パワーウルフがこうしたヨーロッパのコテコテなパワーメタル勢の中でも、個人的に気に入っている点の一つが、コンセプトや世界観が過剰でも、楽曲が意外にあっさりコンパクトなところですね。今作では1曲3分台、下手すれば2分台で短く駆け抜ける楽曲がずらり並んでいます。
良くなんちゃってコンセプトアルバムにありがちな、ムダに長くて内容のない(汗)雰囲気もののSEなど一切なし。コンパクトなパワー・メタル・チューンで繋いでいくので、キレ良く最後まで飽きずに一気に聴けちゃうんですよね~。個人的には歌詞とかコンセプトとかあまり気にせず、やはりサウンド第一義なので、こうした音作りは嬉しいところです。
パワー一辺倒ではなく、意外にもキャッチーとさえいえる、シンガロング必至のメロディがあちこちに内包されているのも聴きやすさの要因でしょう。疾走チューンで掴みはOK、パワー・メタルの範疇でバランスよく配置された楽曲の緩急も心憎いばかり。
そして、もう1点のお気に入りポイントは、強烈な風貌とは相反するシンガー、ルーマニアのブカレストでクラシックオペラを学んていたという本格派、アッティラ・ドルンのオペラティックな唱法でしょう。
ハイトーンでがなり立てることなく、デスボイスに逃げることもなく、はっきり堂々と勇壮で美しいメロディを紡いでいくスタイルは、パワーウルフの創り出すメタルに不可欠な要素を加えています。
アルバムを通してあまりにソツが無さすぎるほどですが、それだけのクオリティを備えた、今の欧州メタル市場で売れているのも納得な作品といえるでしょう。
今回はアルバムの9曲目に収録された「Thunder Priest」をピックアップしました!この曲も3分20秒ほどで駆け抜ける、疾走型のメロディック・パワー・メタル・チューンです!思わずバンド名にしたくなるほど(笑)、楽曲のイメージとハマったタイトルもいいですね。
それにしても、彼らが未だ来日していないとは、、今の日本のメタルシーンを表しているようです。。
聴いてほしい度
85%
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