※評価が今イチなアルバムの中に眠る、隠れた佳曲をご紹介していきます。
アメリカのハード・ロック・バンド、ウインガー(WINGER)が、1993年にリリースした3枚目のアルバム『Pull』の8曲目に収録。
オルタナ・グランジ禍の影響が如実に感じられる、グルーヴィーでダークな要素が増した『Pull』でのサウンドは、WINGERファンの間でも評価が分かれましたね。ハード・ロック・バンドとしての本質が剥き出しになって本格化した、と肯定的に捉える見方もあれば、80sライクなキャッチーさと煌びやかさが失われてしまった、と否定的に捉える見方もありました。
筆者は駄盤括り(汗)で紹介しているように、当時かな〜りガッカリしてしまった派でした。初期二枚での、技量の高さに裏打ちされたキャッチーなハード・ロックは、本当に素晴らしかったですし、相当な回数聴きこみましたからね。それだけに、明らかに方向性を変えた『Pull』全体を覆う重々しい雰囲気が馴染めず、時代の方向性に流されたようにしか聴こえませんでした。
かつてウインガーは、メタリカにビデオの中で、ヤワなバンドの代表格のような扱いで、コケにされたことがありましたけど(ポスターにダーツを刺していましたね)、そうした批判の矢面に立ってしまったのも、サウンドの方向性の転換と無関係でなかったのかもしれません。
個人的には、ウインガーがどれだけ実力ある本格派の集団であるか、彼らの初来日公演を見たときに、嫌という程見せつけられました。その実力あるバンドが、敢えてキャッチーだわかりやすいハード・ロックを演奏しているところに、ウインガーの面白さや強みがあったように思えるんですね。
今回ピックアップした「No Man's Land」は、レブ・ビーチのリフやメロディの創り、アレンジが、比較的初期2枚のアルバムを彷彿とさせる楽曲ですね。2枚のいずれかの作品に収録されても、違和感がないくらいで、アルバムを通して聴く中で「やっぱりコレだよなあ〜」と、思わず呟いてしまいそうな1曲になっています!
ぜひ、一度聴いてみてください!
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