日本のヘヴィ・メタル・バンド、デッド・チャップリン(DED CHAPLIN)他多数で活躍したドラマー、菅沼孝三さんが、2021年11月8日、62歳で亡くなりました。
”手数王”で知られる、日本が誇る技巧派ドラマーの訃報が飛び込んできました。筆者は正直近況を知らなかったのですが、ここのところ闘病されていたんですね。。目にも止まらぬ速さでパワフルにドラムをヒットしていたイメージしかなく、まだお若いこともあり、まさかの知らせにただただ驚きました。
ジャンルを問わず幅広く活躍していた菅沼氏だけに、Twitterのトレンドで1位になるほど、そのニュースが拡散されています。一般的にはチャゲ&飛鳥を始めとする著名アーティストのドラマーとして、その名を轟かせていたことを改めて思い知らされました。
HM/HRファンから見ると、まず思い浮かぶのが90年代初頭のジャパメタバンド、デッド・チャップリンでの活動でしょう。ラウドネスを離れた二井原実がソロ活動を派生させて、茶々丸こと藤村幸宏(G)、永井敏己(B)、そして菅沼氏という、バカテク自慢のメンバーを一堂に集めたユニークなバンドでした。
ラウドネスにも対抗できるほどの凄い布陣ですし、それぞれのメンバーの個性も出まくっていたものの、ジャパメタが下火の時期でもあり、作品のクオリティの高さに比して、セールス的には思ったような結果が得られませんでした。
その後、菅沼氏の名前をジャパメタシーンで耳にしたのが、ラウドネスとの共演でしたね。樋口宗孝が大病を患った際、ツアーのサポートメンバーに抜擢されたのが菅沼氏でした。誰にも代役が務まらないようなポジションでしたが、菅沼氏の名前を見たときは、二井原との関係からも、最適な人選だと思いましたね。
ラウドネス関連でメンバーを2度も助けてきた意味でも、ジャパメタとの繋がりの強さを感じます。近年ではソロアルバムもリリースして、ドラマーである娘さんも含め、精力的に後進の育成を行なっていたようで、残念でなりません。
そういえば10年以上前、ドリームシアターがドラマーオーディションをやりましたけど、なんで日本代表で菅沼氏が出てないんだ!と、そのとき真面目に思った覚えがあります。世界から凄腕が結集したあのオーディションでも、菅沼氏の超人的な高速スナップから繰り出される超絶ドラミングなら、ドリームシアターのメンバーにも驚きを与えたでしょう。
今回、本来はデッド・チャップリンの楽曲をストリーミングでセレクトしたかったんですが、現時点で解禁されていないので、最新のソロアルバムから「You’re all over me」をピックアップしてみました。
これはデッド・チャップリンの盟友、茶々丸のペンによる楽曲で、アルバム中で随一のハードでヘヴィなロック、フュージョンナンバーに仕上がっています。多才な茶々丸がヴォーカルとギターを担当しており、久々にメタル系の楽曲における菅沼氏ならではの手数の多いドラミングを堪能できます。この曲を聴きながら、菅沼孝三さんのご冥福をお祈り申し上げます。
R.I.P 菅沼孝三さん
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