アメリカのロック・ヴォーカリスト / 俳優のミート・ローフ(Meat Loaf)が、2022年1月20日、74歳で亡くなりました。
全世界でのセールス枚数が、現時点で実に約4300万枚!という、1977年発表のロック史上に残る不朽の作品『Bat Out of Hell(地獄のロック・ライダー)』で知られるミート・ローフ。作詞と作曲を手がけたジム・スタインマン、プロデューサーのトッド・ラングレンとともに創りあげた一大ロックスペクタクルは、ロック・オペラ、ミュージカルと称される、唯一無二の大仰な作風で、世界中のロックファンを魅了しました。
大仰な楽曲のテイストならず、アートワークの方向性なども含め、どこかHM/HRと通ずる世界観もあり、HM/HRファンにもミート・ローフの作品を愛聴する方は多かったでしょうし、様々なHM/HR系のアーティストに影響を与えたのは、間違いないでしょう。
実際に、今回の訃報を受けて、アリス・クーパー、テッド・ニュージェント、オジー・オズボーン、ブライアン・メイ、ジョン・ボン・ジョヴィ、スラッシュを始め、数多くの大物アーティストから追悼のコメントがネット上に溢れています。
そんな世界的レジェンドにも関わらず、ここ日本での状況というと、海外に比べて雲泥の差がありました。そもそも『地獄のロック・ライダー』(この邦題は最高なんですけど。。)自体が、日本では全くヒットせず、全世界の4300万枚に対して、どのくらいしか売れなかったのか、逆に興味深いところです。
何せ初来日公演が、96年赤坂BLITZ(嘘でしょ?)での1公演のみって、海外のロックファンから見たらあり得ない事態でしょう。例えていうなら、AC/DCやラッシュ同様な人気格差なんでしょうけど、それを遥かに超える温度差を感じます。
思い起こせば、筆者も最初にミート・ローフに向き合った作品は、94年の『Bat Out of Hell II: Back into Hell(地獄のロック・ライダーII〜地獄への帰還)』からで、第一弾の方は、ほぼ後追いでちゃんと聴いた状況でした。日本のHM/HRファンの中には、同じような方も多いかもしれません。
歌詞やストーリーをきちんと理解できたのかはさておき、その楽曲にフォーカスするだけでもミート・ローフにしかなし得ない、映画さながらの音世界に浸ることができて、起伏の激しいメロディに魅了され、大いなる感動を覚えたものです。
今回の追悼の1曲は、『地獄のロック・ライダーII〜地獄への帰還)』のオープニングを飾る「I'd Do Anything for Love (But I Won't Do That)(愛にすべてを捧ぐ)」をピックアップしてみました。このシングル自体も全米チャート1位の金字塔に輝き、アルバムは約1500万枚以上のセールスを記録しています。
これから先、ミート・ローフを超えるほどのビッグネームに君臨するロック・シンガーは、なかなか現れないでしょう。クイーンがこれだけ人気のある日本ですから、オペラティックな音楽性に共通点を感じるミート・ローフに、こうした機会を通じて、改めて再評価の機運が高まればいいですね。
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