※誰が聴いてもヘヴィ・メタル!な楽曲を紹介していきます!
ブラジルのヘヴィ・メタル・バンド、アングラ(ANGRA)が、1996年にリリースした2枚目のアルバム『Holy Land』の2曲目に収録。
以前ヴァイパーを名作として名高い2枚目ではなくデビュー作からご紹介しましたけど、今回もへそ曲がりに(笑)アングラのこれまた名作であるデビュー作に続く次作からいってみましょう〜。
現代メロスピの礎となる『Angels Cry』で、ヴァイパーから続くジャーマンのメロスピを源流とするアングラ流メロスピの基本形が完成したわけですけど、アンドレ・マトス(Vo)、キコ・ルーレイロ(G)の黄金期メンバーを中心とする彼らは、守りに入るのではなく、新たな方向性へと果敢にチャレンジしていきました。
その挑戦のひとつが、自らのアイデンティティを表現するかのごとき、ブラジル民族音楽のエッセンス注入でしたね。同郷のスラッシャー、セパルトゥラがプリミティヴな要素を加味し、アルバム『Roots』で、自らが生まれ育ったルーツに立ち返っていきましたが、ほぼ時を同じくしてアングラも同じ方向性を標榜したのは興味深いところでした。
さらには、これまでのメロディックでクラシカルなメタルに加え、複雑なアレンジも加味することでプログメタル的なエッセンスも注入されました。わかりやすく日本人好みだったデビュー作に比べて賛否があったのも事実ですが、自らの音楽の地平線をここで果敢に広げた意味は、のちの彼らのキャリアを考えても大きかったと思います。
今回ピックアップしたイントロダクションに続く「Nothing to Say」は、そんな新たに挑戦した要素と変わらぬメロスピ要素が交わる、疾走するメロディック・メタル・チューンです!
冒頭からブラジルのお馴染みサンバのリズムを巧みに導入した、耳を引くリズムパターンが繰り返されます。曲途中やアウトロでも繰り返しこのパートは出てきますけど、どこかプログメタル的な拍子に聴こえるのが面白いですね。
演奏にはさらに安定感が出てきていますし、アンドレが伸びやかに歌うサビメロにしっかりフックがあり、後半転調していく展開も絶妙で、新たな要素を盛り込みながらも6分半近くの長尺で消化不良になっていない点は素晴らしいと思います!
ぜひ、一度聴いてみてください!