※美旋律、メロハー好きなら追求したいAORの魅力をメタル視点で紹介していきます。
イギリスのシンガーソングライター、ギタリストのエイドリアン・ガービッツ(Adrian Gurvitz)が、1982年にリリースした3枚目のソロアルバム『Classic』の5曲目に収録。
ブリティッシュ・ハード・ロックの歴史に燦然と残るガン、スリー・マン・アーミー、ベイカー・ガービッツ・アーミー等で活動し、数々の名盤を生み出し奏で続けた伝説のギタリスト、エイドリアン・ガービッツ。以前ストリーミングで聴ける一部をご紹介しましたけど、、
HM/HRファンにもその名は刻まれ、生み出された作品の多くが、一度は耳にして通過しておきたい名盤として認識されていますね。
そんなエイドリアンがソロとして活動を開始し、79年にリリースしたデビューアルバム『Sweet Vendeta』は、まさかまさかのAOR系作品でした。「甘い復讐」なんて邦題が付いてますけど、ブリティッシュ・ハード・ロックファンへの、文字通り”復讐”とも言える作風になったのは皮肉なものです(笑)。
「転向」という言葉がまさにぴったりな180度の音楽性の変わりように、これまでのエイドリアンに心酔してきたロックファンの多くが、失望したことは想像に難くないでしょう。TOTOのメンバーらをはじめとする、アメリカ西海岸人脈が脇を固める、本格的なAORサウンドを標榜するとは、誰もが想像しませんからね。
ですが、これが決して付け焼き刃ではなく、十分なクオリティを持ったAORファンをも唸らせるもので、しっかりと生まれ変わった姿を音楽シーンに披露したと言えるでしょう。筆者のようなハード・ロック、AOR共にいける音楽ファンでしたら、2度美味しいアーティストになったといえますね。
現時点で『Sweet Vendeta』はストリーミング解禁されておらず、最近になって本作『Classic』が聴けるようになりました。今回ピックアップした「Classic」は、タイトル曲にしてアーバンでメロウなムードを漂わせた、大人のソフト・ロック・チューンです!UKチャートTOP10入りを果たしていますね。
エイドリアンのダンディズム溢れる歌唱とゆったりメロディを奏でるギタープレイが実に味わい深いですね。彼のソングライターとしてのセンスも遺憾無く発揮されています。のちにスティーヴ・ペリーやエディ・マネーをはじめ、数多くのアーティストに楽曲提供を行うほどの才能を、端的に理解できるでしょう。
ぜひ、一度聴いてみてください!