※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2023年9月8日、イギリスのメロディアス・ハード・ロック・バンド、ヴェガ(VEGA)の8枚目のアルバム『Ignition』がリリースされました。
8月末から9月にかけてメロディ派には気になる新作がたくさん出て幾つかレビューしましたが、もう1枚、ヴェガの最新作をご紹介しましょう~。
2009年に元キックのシンガー、ニック・ワークマンらを中心に始動したヴェガは、ほぼフロンティアーズ・レコーズ発で7枚のアルバム制作を重ねてきました。リアルにライヴも含めた活動をするバンドとして、プロジェクトが多いフロンティアーズの中でも貴重な存在といえます。
以前デビュー作から楽興をご紹介したように、個人的にはその音楽性を高く評価してきたので、新作が出るたびにチェックしてきましたが、デビューから5枚目までは日本盤化されたものの、ついに6枚目からはスルーされるようになり、、今作も海外の発売タイミングでリリースされていません。
日本でのバンドを取り巻く状況は、バンドの成長と反比例して悪化していき、さらに、今作ではメンバーチェンジが勃発。しかも2022年夏に脱退したのがニックとともにヴェガを結成し、ソングライティングも含め、重要メンバーとしてバンドを支えてきたジェイムズ(Key)とトム(B)のマーティン兄弟でしたから、その先行きに不安を覚えましたね。
それでもヴェガには新メンバーとして、マーク・トレイル(B)が加入。前作から加わった元イングロリアスのビリー・テイラー(G)と元ミッドナイト・シティのピート・ニューデッキ(Ds)、さらにマーカス・サーストン(G)からなる5人編成で再出発を果たしました。
音楽面を支えた中心メンバーのマーティン兄弟不在となっただけに、これまでのヴェガが築いてきたサウンド面にどういった影響が出るのか?半信半疑ではありましたが、結果としては、、全くの杞憂に終わりましたね!
リアルに胎動するバンドらしく、ハードな躍動感の中に、フックのある哀愁のメロディをふんだんに取り入れ、英国産らしい重厚なテイストを塗したヴェガならではの高品質なメロハーは健在で、これまでのファンの期待に十分に応える作風に仕上げてくれました。
しいて変化を上げるとすれば、キーボードが抜けツインギター体制が確立されたことで、ギターの比重が上がった分、必然的にこれまで以上にハードな音像に感じられる場面もあります。それでもメロディ重視の指向を死守しているのは嬉しいポイントでしょう。
聴いていて改めて思ったのが、同じフロンティアーズのエクリプスとの共通点です。ハードさとメロディアスさのバランスや、質の高い楽曲とパフォーマンス、ライヴも精力的にこなすリアルバンドとしての魅力と、英国と北欧それぞれの個性に違いはあれど、決して見劣るところはありません。
日本で一定の人気を得ているエクリプスのことを思えば、日本盤すら出ないヴェガは過小評価されているなあと思ってしまいます。日本未発売の作品もストリーミングで聴けるので,遡ってほしいですし、前作のボーナスでデフ・レパードの「Animal」をカヴァーしてましたが、レップス好きの方々にも聴いてほしいですね。
今回はアルバム2曲目「Killers」をピックアップしました!ハードなダイナミズムを放散しながらも、全体を覆う哀感は英国産メロハーの系譜が感じられますし、フックの強いサビのメロディとコード展開の妙が、ヴェガらしさを存分に味わせてくれる佳曲と言えるでしょう!
聴いてほしい度
85%
アルバムはこちら!