※歌がなくても魅力的!HM/HRインストゥルメンタルの世界を紹介します。
アメリカのロック他のギタリスト、 マイケル・リー・ファーキンス(Michel Lee Firkins)が、1990年にリリースした1枚目のソロアルバム『Michel Lee Firkins』の3曲目に収録。
シュラプネル系のギタリストは多数紹介してきましたが、その奏でるギタープレイと音楽の独創性で群を抜くマイケル。同レーベルの数多のギタリストとの比較でトップクラスなのは間違いないでしょう。
ネブラスカ州オマハでギタリストの父とピアニストの母という音楽一家に生まれたマイケルは、8才の時に独学でギター習得を開始。バンド活動しつつ腕を上げ、デビュー前にはギターを教えるほどのレベルに到達しました。
そして、例によってマイク・ヴァーニーに送ったデモ音源で見出され、デビュー作としてレコーディングされたのが本作でした。制作スタッフ陣はスティーヴ・フォンタノら、シュラプネルお抱えのお馴染みのメンツで固められています。
さらに、バックにはジェフ・ピルソン(B)、ジェイムズ・コタック(Ds)らHM/HRシーンのアーティストを起用。ジャケットに映るブロンド長髪のマイケルは、まるでヘア・メタル・バンドのギタリストのようにグッドルッキンで、メタル系の何の変哲もない速弾きインストと思えてしまいます。
当時、シュラプネル系が完全に食傷気味だったのも事実でしたからね。しかし、実際には「ありがちな」シュラプネル作品とは一線を隠し、テクニックと曲調の引き出しが豊富で最後まで飽きさせません。海外のギター誌での評価も高く、シュラプネルでも目立った好セールスも記録していますね。
今回ピックアップしたオープニングを飾る「Runaway Train」は、ドライヴするアップテンポのリズムに乗せて、マイケルの軽快かつ超絶なフィンガーピッキングの極意が味わえる、ハードなロックギターインストチューンです!伸びやかなトーンと実に滑らかなスウィープも聴きどころでしょう。
良質なメロディや構成の妙で、テクニックをあくまでも有効活用して最後まで聞かせる術を心得ているのがマイケルの強みですね。この曲に限らずバリエーションのある曲調とギタープレイで飽きずに楽しむことができます。
その後、キャリアを重なる中でブルース、ジャズ、カントリーを始め、音楽性の領域を広げていき、当初のロックフィールドに留まらないアーティスティックな作品を世に送り出しています。
ぜひ、一度聴いてみてください!