※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2023年12月29日、ギリシャのヘヴィ・メタル・バンド、セイクレッド・アウトクライ(SACRED OUTCRY)の約3年ぶり2枚目のアルバム『Towers of Gold 』がリリースされました。
日本盤は昨年末発売でしたが、ヨーロッパではギリシャのノーリモースレコーズから2023年5月にすでに発売されていましたね。輸入盤でメタルマニアに評判を呼び、ようやく日本デビュー盤としてリリースの運びとなりましたね。
セイクレッド・アウトクライは、アテネの南西部に位置する湾岸都市ピレウス出身で、その歴史は1998年に遡ります。まだ2枚目のアルバムなので、比較的ニューカマーかと思いきや、結成25周年を数えます。
ジョージ・アパロディマス(G)を中心にして活動を続け、1999年にデモ「The Temple of Power 」、2003年にもデモ「Damned for All Time 」を発表するも、正式音源に繋がることなく、2004年に活動を休止してしまいます。
その後、ギリシャのメタルシーンでは、ガスGのファイアーウインド等、新興勢力も台頭していきますけど、セイクレッド・アウトクライが沈黙を破ったのは2020年。ノーリモースから7曲入りデビュー作『Damned For All Time…』を遂に完成させたんですね。
ビースト・イン・ブラックのヤニス・パパドプロス(Vo)が参加し、欧州のメロパワやシンフォニックなメタルと、80sのUSメタルの要素を融合した方向性で、濃いメタルマニアに称賛を受けます。こちらは日本未発売でしたが、ストリーミングで聴けますね。
それから3年後、シンガーがなんと元ロスト・ホライズンのダニエル・ハイメンに交代してリリースされたのが本作です。1枚目と音楽的な方向性は変わっていませんが、より荘厳なムードを放つ、重厚なメタルが終始展開されていきます。長尺の楽曲にも果敢にチャレンジしていますね。
何はともあれ、ダニエルの存在が全てでしょう!世界のメタルシーン広しといえど、ここまで歌えるシンガーはそういないでしょうね。魂を振り絞るような超絶極まりないハイトーンボイスは、驚異的という表現さえ陳腐に聞こえてしまいそう。ダニエルが歌ってきた過去のバンドや作品と比較しても、ベスト3に入るほど素晴らしいパフォーマンスを披露してくれています。
それだけに!楽曲にしても、インストゥルメンタル陣にしても、サウンドプロダクションにしても、ダニエルの実力に完全に引っ張られている点は否めません。勿論、ギリシャのローカルメタルバンドとしては、十分なクオリティを持っていることは理解できますし、音楽的な方向性がダニエルにマッチしているのは間違いないでしょう。
但し、ギターリフのアイデア、引き出し、コード進行の起伏ややアレンジの妙など、さほど特徴が感じられず、もしダニエルが歌ってなければ、並みの可も不可もないパワー・メタラーの演奏と楽曲レベルなんですよね。。むしろ1枚目の楽曲の方がユニークさが上かも?しれません。
イントロから疾走曲に入るオープニングは「おっ!」と思わせますけど、スローでヘヴィなチューンが連続してしまう流れも良くないのかも。最後から2曲目も疾走曲ですけど、中間のダレを感じるのは事実ですし、ダニエルの歌唱で強引に持っていっているように聴こえます。
ちょっと不満がでてしまうほどに、ダニエルの実力だけが飛びぬけてるので(そもそもなんで加入したんでしょうか。。)、敢えて言及してみました。ダニエルに関しては、一度超メジャーなバンドで歌って、人類最高レベルの歌唱を広く披露してほしいものです。プリーストでも余裕で通用するでしょうけど、せめてKKダウニングが気づいてくれないですかね?(笑)。
今回はやはり疾走曲の「The Flame Rekindled」をピックアップしました!この手の曲があと2,3曲入ってたらなあ~。
以下は、ダニエルの歌唱だけなら、聴いてほしい度95%は余裕でいきますね!
聴いてほしい度
75%
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