※80sメタル好きの暗黒期、90年代の良心的楽曲を紹介していきます!
カナダの女性ロック・シンガー、クリッシー・スティール(Chrissy Steele)が、1991年にリリースした1枚目のソロアルバム『Magnet to Steele』の4曲目に収録。
クリッシー・スティールことクリスティーナ・サザンは、1984年にシンガーとしてバンド活動を開始、ハード・ロック・バンドでのライヴも多数行うなどキャリアを積み、次第に自らを中心とするバックバンドを従えるように変化していったようです。
カナダのロックシーンで頭角を現す中、1989年にクリッシーに声をかけたのが、同郷のヘッドピンズのメンバー、ブライアン・マクラウドでした。ヘッドピンズは1986年に女性シンガーのダービー・ミルズが脱退しており、後任を探していたんですね。
結局ヘッドピンズも再始動には至らず、ブライアンはクリッシーをフロントウーマンに据え別バンドとして売り出すべくプロデュースも担当し、ティム・フィーハンと楽曲を書きました。そしてヘッドピンズでの音楽業界との繋がりから、メジャーのクリサリスと契約を獲得します。ところが、ブライアンがデビュー前に病をわずらってしまい、、最終的にクリッシーのソロとして世に出たのが本作でした。
ちなみにブライアンは1992年4月にがんのため40歳の若さでこの世を去っており、彼が最後に心血を注いだ遺作ともいえるでしょう。
音楽的にはクリッシーの力強く味わい深い魅惑のヴォイスをフィーチャーした、メインストリームを行く80sライクなハード・ロックが終始展開されています。ヘッドピンズは勿論、ハート辺りも彷彿とさせる楽曲の質は高く、メジャー感バリバリのサウンドメイキングですね。グッドルッキンなクリッシーだけに、80年代なら全米チャートを席巻していたかもしれません。
実際、本国でのグラミーに当たる1992年のジュノー賞で、最優秀女性ヴォーカリスト賞とハードロック・アルバム・オブ・ザ・イヤーにノミネートされましたが、日本ではEMIからCDこそ出たものの、ほとんど無風状態でした。
クリッシーはLAに渡ったものの、レコード会社の方針とソリが合わず、グランジブームの到来も相まってシーンの第一線から去りました。
今回ピックアップした「Love Don't Last Forever」は、ハード・ロックテイストをしっかり残した、メロウなロッカ・バラードのお手本のようなチューンです!シングルでリリースされただけに、胸を締めつける強力なフックを放つメロディとクリッシーの切ない歌唱が、耳を捉えて離しません。
その後、長きブランクを経て、2021年に久々のシングルをストリーミングで発表。音楽活動の再開は素直に嬉しいですね。
ぜひ、一度聴いてみてください!