※CDじゃなくても、ストリーミングで聴ける新作をご紹介します!
2024年2月8日、アメリカのメロディアス・ハード・ロック・バンド、レヴォリューション・セインツ(REVOLUTION SAINTS)の約1年ぶり5枚目のアルバム『Against the Winds』がリリースされました。
フロンティアーズ肝入りのバンド(というかプロジェクト)として、2015年にスタートしたレヴォリューション・セインツが、早くも5枚のアルバムを数えました。
当初はジャック・ブレイズ(B、Vo)、ダグ・アルドリッチ(G)、ディーン・カストロノヴォ(Ds、Vo)の体制でスタート。このメンバーから想像できる最良の楽曲と演奏の完成度は流石の高水準で、もしもライヴを含めてパーマネントで動き出したら、来日できるほどにそこそこいけるのでは?と期待が高まりました。
ところがその後、同ラインナップで2作をコンスタントに重ねるも、次第に新鮮味がかけていき、3年ぶりの前作ではメンバーが交代。残ったのがディーンであり、さらにはプロデュースや楽曲を手がける、フロンティアーズお抱えでお馴染みのイタリア人アーティスト、アレッサンドロ・デル・ヴィッキオだけとなり、、結局はいつものメロハープロジェクトと一緒だったか〜と、正直、失望感は拭えませんでしたね。
一流アーティストに相応しい、一定水準の作品を重ねていたからこその失望でしたが、元々はフロンティアーズの社長のセラフィーノが、ジャーニーではごくわずかしか披露されていないディーンの素晴らしい歌唱を生かすべく企画されたバンドだったということで、プロジェクト感が強まってきたのも致し方ないんでしょう。
ディーンはよりAORにフォーカスしたプロジェクト、ジェネレーション・ラジオでも中心になっていますし、色々あった後にお互いウィンウィンの関係で、フロンティアーズが今一番重用している1人といって良いでしょうね。
さて、今回のアルバムですが、この間出たばっかりじゃないの?なんて思ってたら、わずか1年という短いスパンで驚きました。漆黒の鷹のジャケットのイメージは同じで、どれがどれだかわからなくなります(汗)。今回もメンバーはディーンに加えて、元ナイト・レンジャーのジョエル・ホークストラ(G)と元ドッケンのジェフ・ピルソンで構成され、プロデュース、楽曲はもちろんアレッサンドロが関与してます。
結論から言うと、今回もなんの問題もない、流石の高水準な産業ロック系メロハーで、全編埋め尽くされています。前作よりもメロディの扇情度が若干高まっているかもですけど、ほぼ印象としては過去4作と大きな相違はないでしょう。少なくともメロハー、産業ロックを愛する音楽ファンなら満足するでしょうし、期待を裏切ることは全くありません。ディーンがドラムを叩いているだけに、フロンティアーズにありがちな、機械的で画一的なサウンドと違い、音作りも悪くないですね。
ただし、あえて苦言を呈すなら、キレイに作って魂入らずというか、聴いている瞬間はいい曲やなあ〜なんて思うんですけど、次の曲が流れるとすぐに忘れてしまうというか、彼らにしかできない、本来彼らならできるはずの心に留まるような感動に至らないんですよね。。後を引くように残らないんです。あくまでもアレッサンドロが主導している、この部分は大きいでしょう。
例えが変かもしれませんけど、たい焼きに例えると(笑)、まずフロンティアーズに発注されたアレッサンドロが、たい焼きの金型(メロハーのパターン)を「この曲はAパターン、この曲はBパターンね〜」なんて言いながら幾つか作り、そこにありがちな具材を流し込む。そのままなら変哲のない、たい焼きになるところを、一流のたい焼き職人のディーン、ジョエル、ジェフがうまく焼き上げて、それなりに美味しいたい焼きになりました!そんなイメージがします(笑)。
少なくとも、このアルバム(他作も)をわざわざCDで保有して、10年後、20年後に懐かしく引っ張り出して聴くことはまずないと思いますし、「何曲目のあのメロディ、あのプレイが好きなんだよね〜」などと、思い出すこともないでしょう。
個人的にはデビュー作の「Turn Back Time」だけは、聴き直すかもしれません。大量に作っては消費されて忘れられる音楽。勿論レボリューション・セインツに限らないことですし、ちょっと寂しいですけど、そうした意味では、これこそCD所有不要のストリーミング時代に相応しいアルバム、プロジェクトの典型なのかもしれませんね。
色々と考えさせられるアルバムにもなりました。聴いてほしい度は塩っぱいですけど、純粋にクオリティだけなら80%はいくでしょう。
今回はとりあえず1曲目でMVも制作された「Against the Winds」をピックアップしました!素直になんの不満もないですし、よく出来た楽曲だと思います。
聴いてほしい度
50%
MVはこちら!
アルバムはこちら!